「親への感謝(かんしゃ)」は確(たし)かに大事(だいじ)ですが、無理(むり)やり感謝したり、させられたりするものではありません。子どもといってもいろいろであるように、親もいろんな親がいます。家族のかたちもそれぞれですし、みんな違います。学校では、「多くの人」に合わせて話を進めますが、それに当てはまらない人だってたくさんいるはず。多くの人に合わせなくてもいいですし、「合わせろ」と言われてもできないこともあります。


 「親に感謝できない私は悪い子」と悩(なや)んでいませんか?子どもたちから相談や報告を受けていると、とても感謝しようがない親がいることも私は知っています。
 そうした場合、感謝できないのは当たり前で、あなたは悪くありません。また反対に「私が悪い子だから親が私にいじわるをしたり、つらい目に遭(あ)わせたりする」と考えている人もいるかもしれませんが、それもあなたのせいではありません。1人で我慢(がまん)し続けなくてもいいのです。信頼(しんらい)できそうな大人にそっと相談(そうだん)してみましょう。


 親に感謝ができている人は、その親と巡(めぐ)り会ったことや、親に感謝できる状況が当たり前ではないことに気づいてほしいと思います。
 親は子を、子は親を選(えら)べません。巡り合わせの中で、たまたま親子になったのです。そしていつまでも親子一緒でもありません。10年もしないうちに、進学(しんがく)や就職(しゅうしょく)で1人暮(ぐ)らしを始めるかもしれませんし、どちらもずっと生きているわけではないのです。


 「親への感謝」は、強制(きょうせい)されるものではありません。さまざまなつらいことや苦しいことを乗り越(こ)えて成長し、大人になったときに振り返って「感謝したい」と思えたら、それでいいのです。(浄土真宗本願寺派僧侶・日本思春期学会理事 古川潤哉)

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