石橋正光さん「夕暮れの入江」(F50)

山口保さん「獺祭-戦士の休息」(P150)

川原俊樹さん「臆猫」(F3)

 「生命の歓喜」を美術で描き出す中央美術協会。九州支部展では、モチーフも技法もさまざまにメンバーの個性あふれる作品が並ぶ。絵に描ける情熱が伝わってくる展観になっている。

 準会員の石橋正光さん(佐賀市)は「夕暮の入江」。アシが茂る水辺に浮かぶ小舟を夕日が照らす。石橋さんは水辺と光の表現に定評があるが、川面に反射する黄金の光は鮮烈に心を揺らす。絵には描かれない山の稜線(りょうせん)の上にあるだろう太陽の存在を感じさせる。

 今年初めて出品する川原俊樹さん(嬉野市出身)は22歳の新鋭。「臆猫」は、伝統的な菊文様のネコのおびえが、墨のにじみに描かれる。実力派の会員、山口保さん(佐賀市)は「獺祭(だっさい)-戦士の休息」。晩唐の詩人、李商隠(りしょういん)のように周囲に並べた本の中で思索にふける。

 矢川勝美さん(同)の「春の舞」は、昨年の全国展で会員推挙を受けた作品。トラやクラゲ、タコなど生物のモチーフが画面いっぱい楽しげに描かれる。春らしい明るい色彩で彩られるが、なまめかしくも見えるタッチが命に迫る。85歳の年齢を忘れさせる若々しさがあふれている。

 藤井節さん(会員、東松浦郡玄海町)は「春を待つ」で、子どもを乗せた鳥が野山を飛ぶ童話的世界を描く。平方夕紀子さん(会員、佐賀市)は、初めての人物表現に挑戦した。

 ▼中美九州展は、18日まで佐賀市の県立博物館3号室で。入場無料。

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