1期目の任期最終年に入った佐賀県の山口祥義知事。15日に発表した2018年度一般会計当初予算案では「佐賀の誇りと志の醸成」をメインに、「県民の命を守る」「人の想いに寄り添う」など、継続して取り組む施策を含めた6本の柱を掲げた。各分野の主な事業を紹介する。

 

さがの誇りと志の醸成

「維新博」盛り上げ図る

肥前さが幕末維新博の開催に向け、工事が進む市村記念体育館=佐賀市

 明治維新150年を契機に佐賀の業績や先人を顕彰することで、地域への愛着と誇りを醸成する。

 3月17日に開幕する「肥前さが幕末維新博覧会」は、2019年1月14日までのロングラン事業になり、モニュメント設置やテーマ館運営のほか、会場でさまざまなイベントも展開し、全県的に盛り上げを図る。

 維新期を紹介する多彩な企画展では、歴史や人物だけでなく医療や薬事も取り上げる。最先端の技術がある県内企業や土木技術のほか、現代の佐賀を代表する芸術家にも光を当てる。

 工業高校生が維新期の技術に関する課題研究に取り組むほか、県内各地の近代化遺産をまとめた小冊子を作成し、全小学5、6年生に配布するなどして、次世代につなげていく。

 地域ごとに特色がある伝承芸能について、実態調査を実施して現場のニーズを把握し、担い手不足の解消などにつなげていく。10月には県内の団体が一堂に会する祭典も開く。

 

○明治維新150年記念さが維新事業 12億5640万円

○さが農業「歴史・未来」展開催事業 2024万円

○伝承芸能次世代継承事業 4846万円

 

 

さがの未来につなげる

発展に向けた取り組み

 さまざまな分野で、将来の発展に向けた起爆剤となる取り組みを盛り込んだ。

 2023年に県内で開かれる国民体育大会・全国障害者スポーツ大会に向け、県総合運動場周辺の整備を本格化させるほか、トップ選手の育成と裾野拡大に体系的に取り組む「SAGAスポーツピラミッド構想」を進めていく。

 県内企業の人手不足が深刻化する中、セミナー開催や情報発信などで採用をサポートする。再生可能エネルギーの導入拡大や将来の産業化に向けた礎を築くため、水素の利活用について貯蔵したり発電したりするシステムの基本設計に着手する。

 中山間地の課題解決に向け、主体的に取り組む地域を新たに支援するほか、新規就農者を開拓するためのトレーニングファーム事業を拡充する。

 公立中学校の部活動の競技水準向上と教職員の負担軽減を図るため、指導員を配置して効果的な活動の実践研究に取り組む。有明海再生では、漁業資源回復技術の確立を推進する。

 

○SAGAスポーツミラミッド構想推進事業 4934万円

○採用力向上支援事業 2268万円

○水素・燃料電池関連産業創出事業 3240万円

○有明海再生加速化事業 2億5280万円

 

 

県民の命を守る 

交通事故とがん対策強化

 山口県政のスタート時から重要課題に位置付けている交通事故対策。人口当たりの発生件数が6年ぶりに全国ワーストを脱却したものの、依然として厳しい状況を考慮して引き続き事故抑止に力を入れる。

 事故を起こしやすい若者向けに防止を呼び掛けようと、新たにサッカーJ1・サガン鳥栖とのコラボ事業による改善策に取り組む。交通マナーへの意識改革を図るための啓発事業にも新たに着手する。

 肝臓がん死亡率が18年連続全国ワーストの佐賀県。働く世代に向けた対策を強化するため、全国健康保険協会(協会けんぽ)佐賀支部が実施する肝炎ウイルス検査の自己負担分(上限612円)を無料化する。陽性者への医療機関の受診勧奨も推進する。

 また、がんに関するポータルサイトを開設して予防や早期発見など、啓発に力を入れる。対策に積極的に取り組む団体や企業の表彰制度も創設する。

 

〇交通事故ワースト脱却推進プロジェクト 9096万円

〇がん対策充実・強化事業 2792万円

 

 

人の想いに寄り添う

子どもの居場所づくり重視

 子育てや教育、福祉などの課題解決への処方箋を、山口県政の基本である「現場の声」を吸い上げながら予算化した。

 近年社会問題化する子どもの貧困に対しては、子ども食堂や寺子屋など気軽に集い、交流できる身近な居場所づくりを重視。2017年度に取り組んだネットワーク形成事業参加者の要望をくみ取った。備品購入費補助や開設支援コーディネーターを配置し、「あと一歩」が踏み出せていない民間の人々を後押しする。

 発達障害のある人が教育機関卒業後に支援が受けづらく、離職する現状があるとの声を受け、発達障害者就労支援センター(仮称)を新設する。発達障害のある子どもたちの受け皿として存在感が増している私立高等専修学校には、特別支援教育を助ける人員配置のための補助を新設し、子どもの学びを支える。

 犯罪被害者支援では、新たに支援コーディネーター配置や情報共有システム導入に取り組み、警察や行政、民間支援団体の連携強化や円滑化につなげる。

 

○子どもの居場所拡大事業   1750万円

○私立高等専修学校特別支援教育サポート事業   352万円

○犯罪被害者等支援推進事業   1336万円

○発達障害者支援体制整備事業  7917万円

 

 

さがを支える社会資本の整備

地域間の連携強化に注力

六角川にかかる有明海沿岸道路・佐賀福富道路の橋=杵島郡白石町

 県南部の東西を横断する有明海沿岸道路と県央の南北を結ぶ佐賀唐津道路の整備を地域間の連携強化や交流促進のために重点的に進めており、引き続き必要な予算を計上している。

 有明海沿岸道路で県が事業主体となっている佐賀福富道路では、小城市芦刈町と白石町福富地域をつなぐ六角川大橋が2018年度中の完成を予定する。佐賀唐津道路の佐賀市を通る「佐賀道路」の早期着工に向け、調査・設計も進める。

 城原川ダム(神埼市)は、18年度は実施計画段階から建設段階へ移行し、ダム建設を具体化する取り組みが進む。ダム本体の調査測量など建設工事に向けた詳細な設計の予算を国が計上しているのに伴って、県負担分も増額している。

 

〇有明海沿岸道路・佐賀福富道路事業 40億7000万円

〇佐賀唐津道路・佐賀道路事業 7000万円

〇城原川ダム事業 9972万円

 

 

子育てし大県を推進する

パパの育児家事参画加速

 山口県政の一貫した主要施策である「子育てし大県“さが”プロジェクト」では、これまでの流れを引き継ぎ、男性の家事・育児参画への意識改革を加速させる。

 「子どもが生まれてからでは遅い」と、妊娠中の妻がいる男性(プレパパ)を対象にする。家事や育児への参画を啓発する講座を開いたり、男女共同参画の考え方を盛り込んだ県オリジナルの父子手帳を作成・配布したりする。新聞や動画を用いて広報も行う。女性の社会進出増を見据え、女性が多い職場の男性管理職向けセミナーや、結婚・出産後もキャリアアップを続けるための30~40代女性向けの講座も開く。

 「佐賀の子どもたちがふるさとに誇りを持てるよう促したい」とする山口知事の思いと、明治維新と北海道命名から150年の機会を捉え、佐賀県と北海道の子どもたちの相互交流を実施する。「北海道開拓の父」で佐賀藩士の島義勇を縁に、互いの子どもたちが協力して仮想空間でのまちづくりに取り組む。

 

○マイナス1歳からのイクカジ推進事業  849万円

○女性の大活躍推進佐賀県会議  290万円

○佐賀県と北海道との子ども交流事業  962万円

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