〈孤掌鳴らし難し〉。孤掌とは片方の手のひらをいい、片手では手を打ち鳴らすことはできない。転じて、人は一人では事を成し遂げられないというたとえである。ライバルがあってこそといえる◆スポーツ界でいえば、古くは巨人の長嶋茂雄さんと阪神の投手、村山実さん。最近では、スケートの浅田真央さんとキム・ヨナさんが思い浮かぶ。「なにくそ」「負けるものか」―。相手への闘争心で歯を食いしばり、苦しい練習にも耐え抜く◆この2人も真のライバルである。平昌五輪スノーボードハーフパイプで、2大会連続の銀メダルを手にした平野歩夢選手と、3度目の金メダリストとなった米国のショーン・ホワイト選手。12歳年上のホワイトは、平野の幼いころからの憧れだ◆2人が繰り出す連続技は高く、美しく、冷気を切り裂き観客を魅了した。昨年は2人にとり苦難の年だった。平野は競技中に転倒、命にもかかわる大けがで3カ月の離脱。ホワイトもまた練習中に顔を62針も縫う負傷。ともに、けがと恐怖心を克服しての復活であり、互いに意識をしたろう◆「両雄並び立たず」の厳しい競技の世界にあって、好敵手が貴重な存在になる。19歳の平野と31歳のホワイト。2人の対決は夢の舞台で最高潮に達した。まるで「パン」と両手で打ち鳴らす音が聞こえるようであった。(章)

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