敗れたときのふるまいに、その人の人間性がくっきりと表れる。自らも望んでかなわなかった夢、それをつかんだ仲間を、心からたたえられるか―。平昌オリンピックのスキージャンプで、銅メダルを決めた高梨沙羅選手に駆け寄った伊藤有希選手の姿がすがすがしかった◆2度のジャンプはいずれも、気まぐれな風に泣かされた。メダルはおろか、9位どまり。ぽろぽろと涙をこぼしながら「4年前より悔しい」。それでも、高梨のメダルに「おめでとう。4年前、沙羅ちゃんもすごく苦しい思いをしたから」と祝福した◆4年前のソチ五輪。金メダルを確実視されていた高梨はまさかの4位に終わる。その時、高梨を抱きしめて「また、ここに戻ってこよう」と声をかけたのも、伊藤だった。平昌で悔しさを返す、その思いが、ここまでふたりを支えてきた◆スピードスケートの高木美帆選手にとっては、実に8年越しのリベンジだった。15歳でバンクーバー五輪に出場するものの、前回は代表落ち。金には届かなかったが、ようやくつかんだ銀メダルに「感謝でいっぱい。いろんな人に支えられてきた。誇りを持ちたい」と胸を張った◆男子モーグルの原大智選手の「銅」を皮切りに、日本勢のメダルラッシュが始まった。互いに支え合いながら“一瞬の冬”にかける姿に、胸が熱くなる。(史)

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