陸自ヘリ墜落事故から1週間。雪が積もる中、落下部品がないか水路を捜索する自衛隊員=12日午前11時14分、三養基郡みやき町

 発生から1週間が経過した神埼市千代田町への陸上自衛隊ヘリ墜落事故では、陸自が設置した航空事故調査委員会による原因究明と、陸自や佐賀県警による捜査が進んでいる。陸自は事故状況から、回転軸に羽根を固定する部品「メインローターヘッド」に注目し、部品自体や整備に問題がなかったかを調べている。

【被害状況】落下物、広範囲に散乱

 「ヘリのローターが外れ、機体が真っ逆さまに落ちた」。複数の住民が事故機の異常を証言している。墜落の様子を捉えたドライブレコーダーの映像にも、機体とは別に落下する複数の物体が映っていた。

 羽根4枚は、2枚が現場の住宅地敷地内、1枚が現場の東方約300メートル、別の1枚が南東約500メートルで見つかった。現場から離れた場所にあった2枚は、メインローターヘッドの一部が接合した状態だった。

 羽根以外にも1メートルほどの大きな破片が散乱し、現場から東約450メートルの田畑には機体上部の回転軸付近の装甲、東約650メートルにはコックピットの天井の枠組みとみられる残骸があり、東1・7キロ地点には操縦手順書の一部が見つかった。

 現場周辺の被害は、半径約200メートル内に集中していた。墜落現場の住宅以外に、部品が民家の屋根を貫通するなど7件の被害が確認され、深刻な住民被害の恐れもあった実態が浮き彫りになってきている。

 今回の事故を教訓に、ルートを含めて飛行の在り方が見直されるのか、厳しい視線が注がれている。

【事故原因】羽根固定部の検証焦点 

 原因究明の焦点は、メインローターヘッドの検証に絞られる。空中で羽根2枚が分離し、機体が墜落したという見方が強い。整備後の試験飛行では「異常が確認されればすぐに中止し、点検する」と元陸自パイロットは話す。離陸して2分後の交信まで、異常の連絡はなかったことから「墜落直前まで異変は感じられず、急激に状況が変わったのだろう」と推測する。

 事故機は2006年の配備以降、今回初めてメインローターヘッドを交換した。部品は米国のメーカーから組み立てられた状態で納入された。部品自体に欠陥や問題があったのか、整備ミスか、別の不具合によって羽根が分離したのか。「顕微鏡などによる精査が必要」と専門家は指摘する。

 一方、米軍の同型機でメインローターが分離して墜落した事故の情報がある。航空機事故の情報を掲載する「アビエーション・セーフティー・ネットワーク」などによると、16年12月に米テキサス州で米軍のAH64が墜落し乗員2人が死亡した事故では「メインローターが分離」との情報が寄せられており、15年にも同様の事故の情報がある。

【調査期間】6月上旬に報告書か

 陸自によると、墜落した民家敷地内から回収されたメンテナンス・データ・レコーダーには、飛行記録に加え、部品交換や不具合の履歴などが記録されており、この解析が待たれる。

 航空事故調査委員会は、防衛省の訓令で事故発生から4カ月以内に報告書を防衛相に提出する規則になっており、6月上旬が期限になるが、レコーダーの解析作業次第で前後する可能性がある。陸自の捜査機関「警務隊」と県警は業務上過失致死と航空危険行為処罰法違反の容疑で捜査しており、報告書を踏まえた判断になるとみられている。

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