「花筐」でキネマ旬報ベストテン日本映画監督賞を受賞した大林宣彦監督(前列中央)=東京・文京シビックホール

 2017年公開の映画を対象とした第91回キネマ旬報ベストテンの表彰式が12日、都内で開かれ、唐津を舞台にした「花筐(はながたみ)/HANAGATAMI」で日本映画監督賞を受賞した大林宣彦監督が「(映画を制作してきた)40年への敬意として素直にありがとうございます」と喜びを語った。花筐は日本映画の2位にも選ばれた。

 花筐は檀一雄の同名小説を、唐津市を舞台に映画化した。唐津ロケでは市民ら約2千人のエキストラと約900人のボランティアが支えた。太平洋戦争開戦前夜に恋や友情、死生観に揺れる若者たちを描いた青春群像劇で、反戦の思いが込められている。

 大林監督はスピーチで「単なる記録は風化するが、人の記憶に残る映画は風化しないジャーナリズム。映画は歴史を変えられないが、『歴史の未来』は変えられる。それは戦争などない平和な時代だ」と自身の映画観と平和への願いを重ね合わせた。

 軍国少年だったという大林監督は「老人のノスタルジーを超え、未来の平和をたぐり寄せるための知恵袋として過去の戦争を描こうと思った」と明かした。がんで余命宣告されながら、メガホンをとったことも話題を集めたが、「褒めていただけたので約束します。あと30年は映画を作る。がんごときで誰が死ぬか」と語ると、会場は大きな拍手と笑いに包まれた。

 花筐は第72回毎日映画コンクール最高賞の日本映画大賞も受賞しており、15日に神奈川県川崎市内で表彰式が開かれる。

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