21世紀枠での選抜高校野球大会出場が決まり喜ぶ伊万里高の選手たち=伊万里市の同校

 第90回記念選抜高校野球大会の「21世紀枠」に伊万里が選ばれ、学校創立102年にして初の甲子園出場を決めた。地元の伊万里市は球児をバックアップする甲子園プロジェクトに地域ぐるみで取り組んでおり、市民の喜びはひとしおだろう。選手たちの奮闘を期待し、応援を強めたい。

 「6限目の授業中に校内放送で選抜出場を知り、うれしさで手が震えた」。出場校が発表された1月26日の犬塚晃海主将の言葉だ。21世紀枠の地区候補9校のうち選ばれるのは3校だけ。本当に選出されるのか最後まで分からなかっただけに、ほっとしたという思いも強いことだろう。

 伊万里は選考対象となる昨年秋の佐賀大会で躍進。山口修司投手を中心に佐賀商、佐賀北などを破って準優勝した。67年ぶりに挑んだ九州大会は初戦で沖縄尚学に敗れたが、攻守に粘り強い戦いを見せ、昨年11月に21世紀枠の県候補校、12月には九州地区候補校に選ばれていた。

 選考委員会で評価されたのは、野球に真摯(しんし)に向き合う選手たちの姿だ。伊万里は県内有数の進学校で週3日は7限授業。練習は短い時は90分に限られ、分刻みのメニューを設定して1球の質にこだわっている。地域活動にも熱心で、少年野球大会の審判を手伝うなど野球人口の底辺拡大に一役買っていることも認められた。

 さらに選考では地域的な事情も追い風になったようである。佐賀の一般枠での選抜出場は2007年の小城を最後に遠ざかったまま。01年に始まった21世紀枠で佐賀の学校が選ばれたことはなく、九州地区を見ても過去3年間、21世紀枠での選出はなかった。選考委員会前の県高野連のプレゼンテーションが素晴らしかったことも話題になっているが、生徒たちの頑張りが中心にあって21世紀枠の本命になったことは間違いない。

 今年は高校野球のメモリアルイヤーで夏の選手権は第100回大会。前哨戦となる選抜大会も90回の節目で例年より4校多い36校が出場する。佐賀代表は夏の選手権で佐賀商、佐賀北の全国制覇という金字塔があるが、選抜大会は今回の伊万里を含めて13度目の出場で、平成以降は1989年の龍谷のベスト8が最高となっている。

 高校野球に限ったことではないが、強豪私立の戦力強化はすさまじく、3月23日開幕の選抜大会には連覇を狙う大阪桐蔭など実力校がずらりと並ぶ。そうした中、21世紀枠で選ばれた伊万里、由利工(秋田)、膳所(ぜぜ)(滋賀)はいずれも県立校だ。勝ち上がるのは並大抵ではないが、佐賀代表として伊万里が甲子園の大舞台に挑めるのは大きな喜びである。春1勝を期し、一投一打に全力を尽くす選手たちに精いっぱいの声援を送ろう。(杉原孝幸)

このエントリーをはてなブックマークに追加