陸上自衛隊ヘリコプターの墜落現場になった神埼市の松本茂幸市長(左)に頭を下げる小野寺五典防衛相=神埼市役所

 「このような事故は二度と起こしてはならない」。陸上自衛隊のヘリコプター墜落事故を受けて10日、関係自治体の首長への「おわび行脚」をした小野寺五典防衛相はこう繰り返した。原因究明と再発防止に全力を挙げる姿勢を強調したが、首長が言葉を選びながら突き付けたのは、長年にわたる駐屯地との信頼関係の揺らぎ。苦言や注文に防衛相は、こうべを垂れるしかなかった。

 小野寺防衛相は午前中、佐賀県神埼市千代田町の事故現場を訪れた。防衛省関係者の説明を受けながら約10分間、火災の跡が生々しい建物や、残された機体の一部を険しい表情で視察した。「航空事故の危険性を改めて認識させられた」。夕刻の報道陣の取材には、こう答えた。

 面会した首長はそれぞれ、駐屯地と築いてきた信頼関係に触れた。

 立地自治体の多良正裕吉野ヶ里町長は、多くの隊員や家族が町内で暮らしている現状を示した上で「信頼関係の下でヘリが安全に飛んでいるという認識」と述べた。事故発生時、町への情報伝達が遅れたことに対して謝罪を受けると、「基地のある町としての配慮をしてほしかった」と苦言を呈した。

 松本茂幸神埼市長は面会後、「整備をしっかりやって、絶対大丈夫という確信を持って飛んでほしい」と複雑な思いをにじませた。

 緊密な情報交換、被害者家族をはじめとした住民の心のケア、そして再発防止策…。多くの注文を受けた小野寺防衛相は首長に対し「駐屯地を大変ご支援していただいている。信頼が崩れないよう安全な運転に万全を尽くす」と強調した。

 事故で負傷した小学5年の女児(11)について、小野寺防衛相は「大変怖い思いをさせてしまった。心のケアをはじめ、しっかりと対応していく」と松本市長に伝えた。被害者家族との面会内容については報道陣に「質問には誠心誠意答えた。飛行の安全が何より大事だということを肝に銘じる」と述べるにとどめた。(取材班)

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