陸上自衛隊ヘリ墜落事故現場周辺で部品の散乱状況などを調べる陸自の航空事故調査委員会のメンバーら=7日午前、神埼市千代田町

 神埼市千代田町の民家に陸上自衛隊目達原駐屯地(神埼郡吉野ヶ里町)のAH64D戦闘ヘリコプターが墜落した事故で、陸自内に設置された航空事故調査委員会が事故原因の究明を進めている。刑事責任の所在を調べる捜査も陸自の捜査機関「警務隊」が主導し、いわば身内が身内の事故を調べる格好だ。事故機が戦闘ヘリで、高い専門性と防衛機密の保持が求められるという特殊事情が背景にあるが、民間にも被害が及んでいるだけに「情報開示が重要」という指摘がある。 

 

 自衛隊機の事故が発生した場合、事故調を設置すると防衛省の訓令で定めている。事故調は、原因の究明と再発防止策を取りまとめることに主眼を置く。

 陸上幕僚副長を委員長に、副委員長2人を配置し、陸幕委員には人事や装備、教育訓練、医務、航空安全分野などの幹部8人が就く。他の委員も全て陸自関係者で構成し、航空関係の各部隊から出される隊員が実働部隊として動く。

 7日の衆院予算委員会では、こうした構成での調査に対し「外部の目を経た調査をしていることを世の中に示すべきでは」との疑問が示され、国土交通省の調査組織「運輸安全委員会」との合同調査を求める意見も出た。小野寺五典防衛相は「AH64Dは、陸自がわが国唯一の運用者として専門的知見を有している」と述べ、陸自による調査は適切との考えを示した。

 事故現場では、調査と、捜査のための現場検証が並行して進められてきた。捜査では、自衛隊と佐賀県警が「お互いに協力しながらやっている」(県警幹部)という。県警は、神埼署に現地本部を置いて自衛隊も詰めているが、捜査本部は立ち上げていない。「部品などの専門的知識がない」と県警幹部は話し、自衛隊が主導しているのが実情だ。整備、運航状況に関する聴取にも現段階で県警側が同席した様子はない。

 元航空自衛隊航空事故調査部長の永冨信吉さんは「自衛隊機は民航機とは運用思想が違い、特殊な世界でもある。多角的な視点は必要だが、違う分野の専門家が入ることで調査が円滑に進まないなどの弊害も考えられる」と指摘する。

 ただ、今回は民間にも被害が出たため、説明や情報開示が欠かせないとみる。「国防のため公表できない部分はあると思うが、大半は差し障りがないと考えられる。しっかりと責任を果たすことが重要」と話す。

 事故調は4カ月以内に調査報告書を防衛相に提出することになっており、捜査の行方も報告書を踏まえた判断になるとの見方が少なくない。

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