意欲的に技術や経営の改善に取り組み、地域農業の振興に貢献している個人・団体を表彰する「佐賀農業賞」。受賞した16個人、団体のうち、「組織・集団の部」の最優秀賞と特別賞の取り組みを紹介する。

 

【最優秀・農林水産大臣賞】

 農事組合法人もろどみ(佐賀市)

11集落合併、コスト削減

農林水産大臣賞に輝いた「農事組合法人もろどみ」。11の集落から選出された理事が定期的に集まり、情報共有を図っている=佐賀市諸富町

 「いかに農地を守るか。耕作放棄地を出さないことが目標」。農事組合法人もろどみ(佐賀市諸富町)代表理事の光延泰典さん(56)は力を込める。2015年5月、町内10の集落営農組織が広域合併して誕生した。将来にわたって農地を維持していこうと、集落の垣根を越えた強固な連携体制を築いている。

 若者の減少で農業の担い手不足が深刻になり、一つの集落だけでは作業が立ち行かなくなったことから、13年から合併協議を始めた。現在は参加集落がさらに一つ増えて11となり、組合員は141戸。コメ、麦、大豆を中心とした経営面積は354ヘクタールで、町全体の約6割の農地を管理する。

 広域法人のスケールメリットを生かし、農業機械の集約や農地の集積が進み、互いに人をやりくりして収穫や防除など適期作業が可能になった。労働時間の短縮や生産コスト削減の効果も出てきており、「これまで点だったものが面でできている」と光延さん。大規模組織の運営を円滑にするため、11集落からそれぞれ理事を選出。定期的な会議で情報を共有し、連帯意識の向上や迅速な対応に努める。

 今後の課題は、組織内の後継者育成と経営の安定化。より効率的な作業体系を確立し、露地野菜など高収益の作物の導入を検討する。光延さんは「5年、10年先の地域農業をどうしていくかを考えることが大事。収益を上げる努力をして、若い人たちが農業をやれる仕組みをつくりたい」と意気込む。

 

 

 【優秀・JA佐賀中央会長賞】

 タマネギ農家で設立50年 北区機械利用組合(白石町)

 機械、技術を共有生産性向上

設立から50年を経過した北区機械利用組合。生産性、収益力向上に努めている=杵島郡白石町福富の北区公民館

 北区機械利用組合(杵島郡白石町、筒井文男組合長)は1967年、農業機械の購入・維持負担を軽減し、持続可能な農業を実現するために旧福富町北区のタマネギ農家などで設立した。50年を経過した現在は組合員30人が栽培技術も共有して生産性を高め、農作物の品質向上に力を入れている。

 同じころに町内で相次ぎ設立した利用組合の多くが解散する中、北区は県内でも有数の歴史を持つ組合の一つ。同地区では設立の5年前にコメの裏作としてタマネギの栽培が始まっており、「みんなで産地を作り上げていこうという意識が高かったのだろう」と組合員は口をそろえる。

 農地の維持管理や作業の負担軽減を図ろうと、あぜを修復したり、農地の排水を良くしたりする機械も導入した。日常的に使う農機に比べ利用頻度は低いものの、共同購入で1人当たりの費用負担を減らすことで採算性を向上させ、作付面積の拡大にもつながった。

 町は県産タマネギの主産地となり、生産量は全国で北海道に次ぐ規模。2年前には生育不良を引き起こす「ベと病」が流行し、記録的な不作に見舞われたが、「栽培に適した土作り、排水対策などの環境整備の重要性を改めて共有する機会になった」と筒井組合長(64)は振り返る。

 農業の担い手不足が叫ばれる一方で、組合員のほとんどが後継者を確保。組合も国などからの補助金を受けずに単独で運営している。筒井組合長は「先輩が若手の悩みを聞くことで、地域農業全体の底上げにつながっている」と話す。

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