いよいよ平昌(ピョンチャン)冬季オリンピックが開幕しました。最近のスポーツ界では、華やかなパフォーマンスの陰でドーピング問題が取り沙汰されることが多くなりました。選手の皆さんは風邪をひいても、ドーピングの疑いをかけられないようにと風邪薬を容易に服用できないそうです。歯科医の私には、若い選手の皆さんが、夜も眠れないような親知らずの激痛に襲われたらどうなるのか心配になります。

 さて、オリンピックはパラリンピックとあわせて、「オリ・パラ」と呼称されることが多くなりました。パラリンピックは今や福祉競技というイメージではなく、競技としての評価が定着しています。そのパラリンピックの現役アスリートである中西麻耶選手の講演を、歯科の学術大会で拝聴する機会がありました。

 彼女は元テニスの国体選手でしたが、事故で片足を失ってしまいます。失意の中、一念発起して義足の陸上選手としてよみがえり、ソウル、ロンドン、リオデジャネイロの3大会にて優秀な成績を収め、現在は東京オリンピックを目指して練習の日々とのことでした。

 彼女が練習の中でとても大切にしているのは体幹トレーニングで、その主役は嚙(か)む力のコントロールだと力説されていました。スポーツと歯の嚙み合わせの関係は、1980年代に活躍したカール・ルイスという陸上選手が、歯科矯正装置を装着したまま競技に臨み、金メダリストとして表彰台に上がったことから脚光を浴びるようになりました。スポーツ選手のトレーニング量や身体の強化が限界に近づいた現在、歯の嚙み合わせは、本番における能力発揮のための重要な要素と考えられるようになっています。

 さて平昌大会。表彰台に上るオリンピック、パラリンピックの各種目の選手たちの、その笑顔の中にのぞかせる歯には、きっと本物の美しさ、本物の健康、そして本物の力強さが映し出されていることと思います。スポーツ歯科の詳しい情報は、「日本スポーツ歯科医学会」のホームページをご覧ください。

 (すみ矯正歯科院長 隅康二)

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