陸自ヘリの飛行ルート(イメージ)

 定期整備後の試験飛行で離陸後わずか7分で墜落した陸上自衛隊目達原駐屯地(神埼郡吉野ヶ里町)所属のAH64D戦闘ヘリコプターの事故。4枚の羽根をつなぐ重要部品のメインローター(主回転翼)ヘッドを交換した後の試験飛行で何があったのか。「異変を感じ取る間もなく墜落したのではないか」。試験飛行の経験を持つ元自衛隊ヘリ操縦士は、自身の経験と事故の状況からコックピット内の様子を推し量る。

 陸自によると、ヘリは5日午後4時36分に目達原駐屯地を離陸した後、駐屯地の敷地外をなぞるように設定された飛行ルート「場周経路」を反時計回りに飛行。半周ほど飛んだ後、同38分に駐屯地の管制塔と交信し、管制圏に出入りするポイント(西方約10キロ)に向かうことを伝えて飛行していたが、43分に管制官が目視で機首から下に向かう異常を確認、駐屯地から6キロ先で墜落した。

 「定期整備後の試験飛行は通常の飛行の倍以上、神経を使う。今回は特に中枢部品交換後の飛行なので操縦士は念には念を入れた確認をしていたはず」。陸上自衛隊で30年のヘリ、セスナ機の操縦経験を持つ三養基郡みやき町の小池信康さん(72)は推測する。

 小池さんによると、試験飛行は「試験飛行操縦士」の有資格者が担当し、「何かあった時に的確に対応できるベテラン操縦士が充てられていた」という。

 試験飛行の手順は細かく定められているといい、着陸状態では、油圧やエンジンの回転数など計器類の異常の有無、異音、振動など「5~10分かけて確認」する。その後、離陸して滑走路上でホバリング状態で、操縦かんと三つのかじの連動具合などを確かめる。さらに、指定された高度で、さまざまな速度、上昇下降、ホバリング時の動きや計器などをチェックする。「特に振動や音には神経を使った」と小池さん。

 メインローターが飛行中に分離して、機体が垂直に落下したとされる今回の状況は「ボルトなどローターを固定する部品自体の問題か、固定が悪かったのか、いろいろと考えられる」と指摘する。「仮にボルトが徐々に緩んで外れてローターが分離したとするなら、操縦士はローターが分離するまで気づかないだろう。少々緩んでも振動の変化には気づきにくい」と話す。

 「4枚あるメインローターが1枚でも外れたら、どんなに優秀な操縦士でも全く制御できず、なすすべはない。亡くなった2人は優秀だったろうに…」。小池さんは後輩の死を悼んだ。

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