陸上自衛隊目達原駐屯地(神埼郡吉野ヶ里町)から飛び立った対戦車攻撃ヘリコプター「アパッチ」が墜落し、民家を直撃した。乗っていた自衛隊員が犠牲になり、巻き込まれた民家にいた小学5年生の女児が軽いけがをした。

 亡くなった自衛隊員の冥福と、女児の回復を祈るばかりだが、政府と防衛省は、住民の生命を危険にさらした惨事を重く受け止めるべきだ。

 墜落現場は目達原駐屯地からわずか4キロで、すぐ近くには幼稚園や小学校がある。燃え上がる民家を見つめていた近くの住民は「ドーンという音がして、家から飛び出した」「知人が巻き込まれたんじゃないかと思って駆けつけた」「整備した直後に起きた事故と聞いて、もっと怖くなった」などと、口々に不安を訴えた。

 なぜ、自衛隊機は落ちたのか。

 目撃者の証言によると、まず回転翼「ローター」部分が、それから機体部分が落ちていったという。周辺に農地が広がっているにもかかわらず、民家を避けられなかった状況を考えると、パイロットが機体をコントロールできない状況に陥ったのではないか。

 在日米軍の場合、事故が起きる度に「人為的ミス。機体の安全性は確認できた」と、パイロットに責任を押しつけて飛行を再開するケースが目立つ。

 今回ばかりは事態収拾を急ぐあまり、安易な幕引きは許されない。というのも、自衛隊機をめぐる事故もまた、多発しているからだ。

 昨年5月には北海道で救急搬送中の陸自連絡偵察機が墜落し、4人が亡くなっている。8月には青森県沖で、海上自衛隊の哨戒ヘリが墜落して2人が死亡し、1人が行方不明になった。さらに、10月にも航空自衛隊浜松基地の沖合で4人が乗った救難ヘリコプターが墜落している。

 これほど事故が相次ぐのは、何か根本的な原因を抱えているのではないか。北朝鮮の脅威や中国の海洋進出で緊迫する国際情勢が影響している可能性もある。直接の技術的な原因だけでなく、その背後に潜む組織的な体制まで含めて、広く原因究明に取り組むべきだ。

 また、事故直後、小野寺五典防衛相は「ヘリコプターの着陸・炎上」と発表したが、どうにも違和感がある。現場を見れば明らかなように、これは着陸ではなく、民間人を巻き込んだ「墜落」そのものだ。事態をできるだけ小さく見せたいという思惑を感じさせ、県民の不信につながりかねない。

 折しも、自衛隊が導入する輸送機オスプレイの佐賀空港配備計画が議論されているさなかである。今回の墜落事故により、県民の不安は高まるばかりだ。この上、安全性が疑問視されているオスプレイは受け入れがたいだろう。

 しかも、この配備計画は米軍機の受け入れにもつながりかねない。昨年、在日米軍の航空機やヘリコプターによる事故やトラブルは前年から2倍以上に跳ね上がった。小学校の校庭にヘリから窓が落ちる事故も起き、住民の暮らしが脅かされる状況が続いている。

 まずはヘリ墜落の事故原因を徹底的に究明した上で、速やかに情報を公開し、再発防止策を示すよう求めたい。何よりも住民の生命が最優先である。(古賀史生)

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