炎と黒煙が立ち上る映像が衝撃的だった。自衛隊の攻撃ヘリが神埼市に墜落した。燃え上がる民家に向かって、何本ものホースから放水され、消防隊が懸命に消火活動をする。混乱した現場の雰囲気に慄然(りつぜん)とした◆付近にいた住民は、墜落の瞬間、地響きがするような大きな音に驚いたという。「ありえない、こんなところで…。怖かった」。実感だろう。航空機事故の恐ろしさである。落ちたのは陸上自衛隊目達原駐屯地(吉野ヶ里町)の対戦車ヘリで、パイロットの貴い命も失われた◆被害にあった民家の住民の命は無事だったものの、女の子が負傷した。軽かったのは偶然にすぎない。加えて、帰宅したら何もかもが灰になったショックは計り知れないだろう。米軍とはいえ、今年に入って沖縄でヘリの不時着が相次ぎ、空からの部品の落下という事象も起きている◆基地と隣り合わせで暮らす住民の不安は、人ごとではなかった。目達原のヘリ約50機の移駐を伴う、佐賀空港へのオスプレイ配備計画があるからだ。パイロットは飛行中にアクシデントが起きても、「地上には被害を与えるな」と教育されるそうだ◆民家を避けられるものなら、避けたかったろう。それでも操縦不能に陥ることがある。不安に駆られながら、空を見上げたくはない。安全に絶対はないことを思い知る。(章)

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