陸自ヘリが墜落し、炎上する民家=5日午後5時20分ごろ、神埼市千代田町嘉納

 雷のような音がした後、地響きがした-。佐賀県神埼市千代田町の民家に陸上自衛隊目達原駐屯地(神埼郡吉野ヶ里町)所属のヘリが墜落、乗員1人が死亡した事故。水田に囲まれた住宅地で、数百メートル先には幼稚園や小学校が迫る。「こんな密集地に…」。住民らはもうもうと吹き上がる黒煙を見つめながら震え上がった。 

 複数の住民らが、事故機の異常に気づいた。三田川中(吉野ヶ里町)の教師髙木健さん(49)は「(ヘリの飛行は)いつも見る光景だが、いつもよりスピードが遅く感じ、高度も低く機体が大きく見えた」と指摘。千代田町内の男性(61)も「車を運転中におかしな動きをするヘリを見かけた。変だなと思って見ていると、ヘリのローターが外れ、機体が真っ逆さまに落ちた」と明かす。

 墜落現場の南50メートルに住む農家の松永和浩さん(41)は、自宅で作業中に事故を目撃。墜落後、現場から逃げてきた女児を保護したといい「ほこりをかぶって白くなっていた。体を打ったようだった」と話す。

 現場の北約200メートルにある大立寺幼稚園の平尾道代副園長(50)は「ヘリが飛ぶ音がした後、バーンという大きな音がしたので、部屋の外に出て見上げると、羽根みたいなものが落ちてきているのが見えた」と振り返る。当時、園には園児約80人がいたが「床に伏せさせて外に出ないように大声で言った」。こわばった表情で話した。

 大きな音に驚いて外に飛び出したという近くの女性は「幼稚園の方から煙が出ていたので、すぐに孫を迎えに行った。本当に無事で良かった」と胸をなで下ろした。

 現場には、けがをした小学5年の女児のクラスメートという女の子の姿も。「何度も連絡しているけど、連絡がつかず、心配でお父さんと一緒に家まで見に来た」といい、「けがをしたと聞いたので心配」と声を落とした。

 想像もしない墜落事故に住民の不安は膨らむ。現場から約200メートルのアパートに住む保育士の20代女性は「仕事で不在だったが、幼稚園も近く、同じ子どもを預かる仕事をしている身としてもぞっとする」と声を震わせた。(取材班)

【ドキュメント】

 16時43分 佐賀広域消防局に通報。「民家にヘリコプターが落ちた。黒煙が上がっている」

 16時53分 県が災害情報連絡室を設置、職員3人を現場に派遣。

 17時ごろ 消防車やパトカーが現場付近に次々と急行し、騒然とした状況に。千代田中部小は職員が手分けし、帰宅後の児童の安否を確認。近くの幼稚園も保護者にメールし、園児の無事を伝える。

 17時半ごろ 小野寺五典防衛大臣が緊急会見。「陸上自衛隊目達原駐屯地所属のAH64Dヘリの着陸炎上が確認された。映像を見る限りは住宅地等に落着している状況」

 17時50分 山口祥義知事が記者団に「非常に憂慮すべき状況だ」。

 18時 安倍晋三首相は官邸で、事故機のAH64Dヘリの当面飛行停止を指示。

 18時半ごろ 小野寺大臣「民家に墜落したことで、地域の皆様に大変ご心配をおかけしたことを誠に申し訳なく思う」。

 18時40分 神埼市が避難所開設。

 19時45分 山口知事が小野寺大臣と電話会談。再発防止と原因究明を要請。

 21時35分 三貝哲九州防衛局長が松本茂幸市長を訪問。面会後、松本市長は記者団に原因究明と再発防止、対策の徹底を求めたことを明かした。

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