回転の早い伊万里のノック。前の選手が投げ終わると同時に次の打球が転がる=同校グラウンド

 甲子園出場が決まって3日後の1月29日。日が傾いた午後5時前、7限目の授業を終えた選手たちが駆け足でグラウンドに集まってきた。犬塚晃海主将の掛け声を合図にタイマーが始動。分刻みのメニューを組んだ90分間の練習が始まった。

◆逆 算

 伊万里は県西部地区を代表する進学校。週3日は7限授業となるが、午後7時15分下校を厳守している。そのため、1分1秒も無駄にできないと下校時間から逆算してメニューを設定。時間対効果を強く意識している。

 例えばノックは10分。できるだけ数をこなすため内外野を別にし、一つのポジションには多くて2人しか置かない。吉原彰宏監督(42)が内野を鍛えている時は、女子マネジャーらが打撃マシンを活用して外野の選手に捕球練習させる。間髪入れずに球が飛び、ミスをしても繰り返しはない。梶山勇人捕手は「野球は1球で全てが変わる。1球に対する集中力を培っている」と力を込める。

 こうした考えは練習最後の筋トレにも反映している。体幹強化を意識した約3メートルの竹ざお振りや、丸太を抱える腹筋など十数種類があり、5人程度の班ごとに次々とこなしていく。仙波優磨副部長は「一連の流れで瞬発力や持久力など効果的に鍛えられるように工夫している」と話す。

◆積み重ね

 部員はマネジャー5人を含め36人。地元の中学から大学進学などを目標に入ってきた生徒がほとんどだ。突出した力を持つ選手がいない中、特待生を集める強豪私立などにどう立ち向かうか。「早い試合展開で自分たちのペースに持ち込みたい」と吉原監督。そうすれば勝機は十分あり、練習からの積み重ねが“見えない力”になると考えている。

 昨年秋の佐賀大会では佐賀商、佐賀北などを撃破。準決勝の多久戦は八回2死走者なしから逆転勝ちを収めた。67年ぶりの九州大会は初戦で沖縄尚学に敗れたが、この間の6戦の平均試合時間は1時間48分。スピーディーな展開が際立った。チームは今後、さらに守りを強化し、実戦形式の練習も重ねて自分たちの持ち味を磨き上げていく考えだ。

 選抜高校野球大会には一般枠33校、21世紀枠3校の36校が出場。連覇を狙う大阪桐蔭など各地区大会ベスト4クラスの強豪がそろい、激戦は必至だ。開幕までの2カ月弱でどこまで力を高められるか。犬塚主将は「一人一人が自身の課題を意識して練習に取り組み、一段上のチームになる」と気合を入れる。

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