みなさんは医療機関を受診したとき、どの程度ご自分のことをお話しされますか? 今までの病状経過やこれまでにかかった病気などは、なるべく詳しく話した方がよいのはもちろんなのですが、看護師や医師からいろいろと聞かれる中で、「えっ」と面食らうような質問が出てきたことはありませんか。

 泌尿器科では、患者さんもそれなりに根掘り葉掘り聞かれると覚悟して受診をされていると思うのですが、このような場面にはたびたび出くわします。例えば、性感染症が疑われる場合は、最近の性交渉がいつだったのか、誰とだったのか、パートナーはいるのか、性風俗に行ったか、どのような性交渉をしたのか、相手が異性か同性か、などを聞いていきます。昼間にはおよそ赤面するような質問ですが、病状を探っていくには不可欠なことです。

 医療従事者には守秘義務がありますので、医療機関で話した内容や病気のことが外部に知れることはないのですが、私のように地元に居住していますと、患者さんと仕事以外で接触することもあり、どのように接してよいのかと迷われているのを感じることもあります。私もだいぶ慣れましたが、逆に素知らぬ顔をしながら言葉尻に問題がないかなど大変気をつけながら過ごすこともあるのです。

 守秘義務は法律でも規定されていますし、明らかに患者さんが不利益を被った場合は訴訟が起こることもあるくらいですから、病気を治すことを最優先として気にせずに話していただきたいのですが、そうは思っていても「この人に知られている」という事実が気になることもあるでしょう。そのような理由で遠方の医療機関を選んで受診される方もおられますし、逆に遠方から当院へおいでになる方もおられます。医療機関を選ぶ理由もさまざまなのです。

 (なかおたかこクリニック院長 中尾孝子)

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