子どもの家庭環境の問題解決を福祉の側面からサポートしているスクールソーシャルワーカー(SSW)の労働組合が本年度、佐賀県内に設立された。SSWは学校と児童相談所、警察など関係機関を結ぶ調整役を担い、悩みを抱える家庭に寄り添うなど教育現場での存在感は増しており、県内でも支援件数は増加傾向にある。一方で、非常勤雇用と不安定な待遇で労働環境の整備も途上にある。組合は、事業主体の佐賀県に待遇改善を訴えていく。

 組合は、佐賀県庁や県の出先機関の非正規職員でつくる「佐賀県臨時・非常勤等職員労働組合(臨職ネット佐賀)」の分会として昨年8月に発足した。県教委に雇用されているSSW16人のうち8人が加入している。昨年11月には、継続雇用や社会保険、雇用保険の加入など4項目の要求書を県教委に初めて提出した。自治労や日教組によると、SSWによる組合結成は「全国でも事例が見当たらない」と話す。

 SSWは2008年度から配置が始まり、本年度で10年目。不登校やいじめ、虐待の認知件数が増加傾向にあるのに伴って教育現場での需要が高まり、16年度は1011件を支援、5年前の574件から2倍近くに増えた。一定の支援効果もみられ、不登校や発達障害など携わったケースの半数前後が問題の解決や改善に結びついているという。

 ただ待遇面は、任用期間が1年の非常勤職員で、再任用されても10年の上限がある。年間の勤務時間を社会保険の加入基準に満たない1040時間未満を目安にしており、社会保険の適用実績はこれまでない。退職金や賞与もない。前年度の支援件数を平均すると、1人当たり年間67・4件を担当している。分会長の渡辺千枝さんは「認知度が上がって関係機関や保護者から頼られることが多くなり、勤務時間外の連絡も少なくない。重責に見合った待遇と労働環境の改善を訴えたい」と話す。

 ■スクールソーシャルワーカー(SSW) 学校や児童相談所、警察など関係機関などと連携して子どもの家庭環境の問題解決に結びつける福祉の専門家。子どもの心のケアや保護者、教師への助言、支援などに従事するスクールカウンセラーが心理面でサポートするのに対し、SSWは福祉の専門知識を生かして環境を改善するのが主な役割。社会福祉士や精神保健福祉士などの有資格者やソーシャルワーカー、教員経験者もいるが、採用基準は自治体によって異なる。

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