佐賀県東部地区を担当するスクールソーシャルワーカーの手帳に書き込まれた支援のスケジュール。教育現場での認知度の高まりに伴い、支援要請も増えている

 貧困や発達障害、いじめ、虐待など子どもを巡る問題の顕在化に伴って、佐賀県内でも出番が増えているスクールソーシャルワーカー(SSW)。学校に不信感を抱く保護者と信頼関係を築き、問題解決に結びつけるケースも見られるなど力を発揮しているが、休日や時間外にも相談者や関係機関から連絡を受けるなど、非常勤職ながら重責を担っている現状がある。

 「不登校の問題でもいろんな背景がある。貧困、発達障害、虐待が複雑に絡み合っているケースが少なくない」。県東部地区を担当するSSWの女性(45)は仕事の難しさを話す。

面談「夜が多い」

 特に近年増えていると感じるのは貧困の問題。「修学旅行の負担金が払えない」「校納金や給食費が払えない」といった訴えを端緒に、子どもの困窮状況が明るみに出る。「学校側の聞き取りだけだと、単に保護者が働いてない現象面に目を向けがちになる。SSWが入って聞き取ると、心の病だったり発達障害など働けない背景や要因まで明らかにできることが多い」という。こうした場合、就労や生活支援だけでなく、精神面のケアなど医療、福祉面のサポート態勢づくりにも駆け回ることになる。

 いじめ問題では、保護者が学校側に不信感を募らせているケースが多い。丁寧に対応して信頼関係づくりに心を砕く。保護者との面談は「夜が多い」という。

 土日や休日に連絡を受けるときもある。「『ひとり親世帯の保護者が急きょ入院し、子どもの世話ができる親族がいない。どうすればいいか』と学校から呼び出されたこともある」と女性。過去に支援した家庭で虐待が起き、児童相談所から一時保護の可否に関する相談もあったという。

パソコン支給なし

 SSWは家庭の問題を把握し、的確な対策に結びつけるために細やかに聞き取り、関係機関と対応を検討する「ケース会議」を主導する役割を担う。「支援に必要な情報」の共有が重要だが、県教育委員会からパソコンの提供がないため、個人用での情報管理を余儀なくされているケースが少なくないという。

 SSW向けにパソコンを配備している市教委もあるが「教育委員会事務局から持ち出して使うことができず、家庭や関係機関、学校を行き来する今の働き方では使いにくい」との声もある。あるSSWは「情報漏れがないよう細心の注意を払っているが、セキュリティー対策も含めて環境整備をしてほしい」と話す。

 複数の市町を担当する別のSSWの女性(50)は1日の移動距離が70~80キロ、多い時には200キロに及ぶ。各市町での年間の勤務時間は決まっており、移動時間の長さが各市町での仕事に影響を及ぼすことになる。ある町では週4時間程度の割り当てしかなく、「相談対応や関係機関との協議のスケジュール調整が大変」と明かす。その上で「時間がかかるケースもあるので、それを踏まえた担当市町決めや配置時間の設定が必要」と指摘する。

 「さらに人員を増やそうと考えるなら、働きやすい環境づくりをしないと確保は難しい」。どのSSWも労働環境改善の必要性を訴えている。

このエントリーをはてなブックマークに追加