14年ぶりの新作について語る原尞さん=鳥栖市東町のジャズ喫茶「コルトレーン・コルトレーン」

 鳥栖市在住の直木賞作家原尞(はら・りょう)さん(71)が3月1日、早川書房から14年ぶりに長編「それまでの明日(あした)」を刊行する。ハードボイルドファン待望のタフで皮肉屋な私立探偵・沢崎シリーズの長編5作目。デビュー30周年記念作品ともなり、原さんは「これまでで一番面白い作品になった」と納得の表情を見せている。

 1946年鳥栖市生まれ。九州大文学部を卒業、東京でジャズピアニストとして活躍後、帰郷した。88年、探偵・沢崎が登場するハードボイルド長編「そして夜は甦(よみがえ)る」で鮮烈なデビューを飾り、89年の長編2作目「私が殺した少女」で直木賞を受賞した。2004年に第4作「愚か者死すべし」を発表したが、以降は沈黙を続けていた。

 新作は金融会社の東京・新宿支店長が料亭おかみの身辺調査を依頼するところから始まる。調べるとおかみはすでに死亡しており、依頼人も突然、姿を消す。沢崎はいつしか金融絡みの事件に巻き込まれていく。

 両切りのピースを愛し、何とも皮肉っぽく機知に富んだせりふという沢崎の姿は変わらない。デビュー時は40代前半だったが、新作では50代前半に設定している。

 原さんは14年をかけたことについて「1行1行のすべてが面白い小説を追い求めた結果だが、そんなにかかってしまったかという感慨もある」とし、「犯人探しのミステリーというよりもハードボイルドとして読んでほしい。ワンステップ進んだと感じてもらえるのではないか」と読者の反応を楽しみにしている。税込み1944円。県内主要書店で販売される。

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