打撃練習に汗を流す伊万里の選手たち=同校グラウンド

 伊万里市は地域ぐるみで球児を応援する「甲子園プロジェクト」に取り組んでいる。事業は2013年に正式スタート。今回センバツ出場を決めた伊万里の選手たちは、その応援もあって夢をつかんだ“1期生”だ。

 「体は大きいし、球が速くてあこがれた」。昨年秋の佐賀大会で5試合を担い、準優勝の原動力となった山口修司投手は小学6年の時に参加した野球教室のことをよく覚えている。伊万里商出身でプロ野球広島の迎祐一郎選手(現・打撃コーチ)らから投打の基本を学び、練習に打ち込むきっかけになった。

◆東高西低

 県内の高校野球はかつて「東高西低」といわれた。佐賀市勢を中心に鳥栖・三神地区などの学校が優勝を続け、唐津市を除いて県西部地区の学校は甲子園が遠かったからだ。そうした中、伊万里市では球児の夢を応援する人が相次いで現れた。

 伊万里OBで1987年から13年間、母校の監督を務めた岡本和宏さん(72)もその一人。退職後の2010年、夏の中体連を終えた中学3年生を対象に野球教室を始めた。「試合前から佐賀市の学校には勝てないという雰囲気があり、気持ちから変えてほしいという思いもあった」と語る。

 伊万里に入学するまで岡本さんの教室に通った1年の山口瑞希選手は「打つ時の体の使い方など岡本先生と吉原監督の教えは似ている。スムーズに高校の練習に入ることができた」と振り返る。チームには同じ思いの部員も少なくないという。

◆サポート

 こうした動きもプロジェクトの本格始動につながった。「甲子園出場、それは市民の心が一つになる瞬間」と塚部芳和市長。市役所に甲子園プロジェクト係を置き、商工会議所や観光協会など各種団体も参加。甲子園常連校の監督を招いた講演会や実技講習、県外との強化試合など多彩にサポートしている。

 プロジェクト係の西尾義久さん(44)は「伊万里で育った選手がそのまま残り、地元の学校から甲子園を目指してほしいと願っている」と力を込める。今回の伊万里には啓成中がドリーム旗中学野球県大会を制した時のメンバーが5人いる。

 2006年の伊万里商を皮切りに、これまで伊西地区から3校が甲子園へ。有田工が1勝を挙げたが、伊万里商、伊万里農林は初戦敗退だった。今回は「市内の学校から甲子園1勝を」という市民の期待がかかる。

 「もちろん勝つつもり」と犬塚晃海主将。地域からもらった元気を自分たちが返す番と自覚し、練習に励んでいる。

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