甲子園初出場が決まり、健闘を誓う伊万里の犬塚晃海主将(中央)=1月26日、伊万里市の同校

丸太を使ったトレーニングに汗を流す伊万里の選手たち=同校グラウンド

 「まさか本当に行けるなんて」「信じられない」-。選抜高校野球大会の出場校が発表された1月26日。「21世紀枠」で春夏通じて初の甲子園出場を決めた伊万里の選手たちは、喜びとともに驚きを隠さなかった。

◆全国で3校

 戦力以外の要素を加味する21世紀枠。全国から選ばれるのは3校だけで昨年11月に県候補校、12月に九州唯一の地区候補校になっても半信半疑だった。その一方、甲子園出場の可能性が選手たちの胸を熱くした。冬場は試合ができず、走り込みや基礎練習が中心。モチベーションを保つのは難しいが、へこたれる選手はいなかったという。

 伊万里は県内屈指の進学校で創立102年。野球部は戦後すぐの創部で70余年の歴史を誇るが、これまで夏、秋、春とも佐賀大会の優勝はなし。伊西地区では2006年の伊万里商を皮切りに伊万里農林、有田工が甲子園出場を果たし、一歩遅れた格好だった。

 状況が変わり始めたのは2014年。11年夏に唐津商を甲子園に導いた吉原彰宏監督(42)が着任した。徐々に力を付け、16年夏はベスト4入り。昨夏は初戦敗退だったが、新チームは21世紀枠の選考対象となる秋の佐賀大会で躍進した。

 山口修司投手が全5試合に登板し、佐賀商、佐賀北などを破って準優勝。67年ぶりに九州大会出場を果たすと、沖縄尚学を相手に最後まで粘り強い戦いを見せた。

◆底辺拡大

 今回の伊万里の選出について、選考委員会の前にプレゼンテーションを担当した県高校野球連盟の吉冨壽泰理事長は「練習の工夫や地域貢献が評価されたのだろう」と話す。選手たちは学業と両立しながら短い時間で効率的な練習に励み、地元の少年野球大会で審判を手伝うなど、野球人口の底辺拡大に一役買っている。別の高校野球関係者は「地域ぐるみで甲子園プロジェクトを展開していることも大きい」と語る。

 さらに地域的な事情が後押ししたとの指摘も。佐賀の一般枠での選抜出場は2007年の小城以来、遠ざかったまま。01年に始まった21世紀枠でこれまで佐賀の学校が選ばれたことはなく、九州地区を見ても過去3年間、21世紀枠での選出はなかった。

 選手たちの頑張りが中心にあり、いろいろな要因が重なって図らずも21世紀枠の本命になり、夢がかなった。吉原監督は「選ばれて喜ぶのはもう終わり。ここからは甲子園で勝つために練習する」と言い切る。

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 3月23日に開幕する第90回記念選抜高校野球大会の21世紀枠に選ばれた伊万里。選考の背景や甲子園に向けて練習に励んでいる選手たちの今を紹介する。

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