「開門せず」に動揺、理解 諫早湾干拓問題

 国営諫早湾干拓事業(長崎県)の開門問題を巡り、佐賀県有明海漁協がポンプ設置などの条件付きで「非開門」容認への動きを見せたことに対し、これまで「漁業者に寄り添う」として開門を求める意見書を可決してきた県議会には1日、動揺が広がった。一方で、国の開門しない強固な姿勢に、開門によらない対策を求める「現実路線」に理解を示す声も。議会と同じ立場の県は漁協の判断を見守る慎重姿勢を見せている。

 「海況異変の原因究明のために求めていたのが開門調査であり、基金案でそれが実現できるとは思えない」。漁業被害が深刻な漁船漁業者が多い藤津郡太良町が地元の坂口祐樹議員(自民)は、開門を求め続けてきた漁協の方針転換に戸惑いを見せた。

 県議会は昨年12月、福岡高裁の確定判決に基づく開門調査や調整池からの小まめな排水など3項目を求める意見書を全会一致で可決したばかり。国が示す100億円の基金案を「到底受け入れることはできない」と明記している。

 意見書の提案を呼び掛けた武藤明美議員(共産)は、訴訟当事者ではない漁協に、国が開門しない前提の基金案の受け入れ協議を持ち掛けることを「圧力」と強く批判。「漁協は政治力に負けず、漁業者の気持ちを代弁してほしい」

 議会内には冷静に受け止める意見もある。自民議員の一人は「あくまでも最大の目的は有明海再生であり開門は手段。現実的な施策を考える段階に変わっている」と指摘する。漁協が条件に挙げるポンプ設置などを国が認めれば、オスプレイ配備計画で懸案になっている「国への不信払拭(ふっしょく)」に向けた好材料にもなるとみる。

 山口祥義知事は1月の定例会見で、開門調査を求める姿勢を示しつつも「厳しい状況」と発言。昨年11月に斎藤健農相が来県した際、知事が開門問題にほとんど触れなかったこともあり、佐賀市川副町出身の江口善紀県議(県民ネット)は「議会が全会一致で開門調査を求めてきた経緯があり、仮に県が方針転換するのであればしっかり説明すべき」とくぎを刺す。

 漁業者と共に開門調査実施を訴えてきた佐賀県。副島良彦副知事は、漁協が最終決定するまで見守る考えを示した上で「県としては漁業者に寄り添っていく。どのような結論になっても有明海再生には注力していく」と述べるにとどめた。

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