館蔵の版木(右)で刷られた「珮川詩鈔」。京都の古書店から購入し今回初めて展示=多久市郷土資料館

「佩川の漢詩は当時、佐賀以外でも広く読まれていた」と語る藤井館長=多久市郷土資料館

 多久市郷土資料館が所蔵する版木で刷られた佐賀藩の儒学者・草場佩川(はいせん)(1787~1867年)の詩文集『珮川詩鈔』が京都の古書店で見つかり、同館で展示している。同文集は「没後150年 奇才の遺産 草場佩川」展で県立博物館でも展示されているが、版木とは異なる文字配列が多くあり、同資料館の藤井伸幸館長は「一つの版木を何度も補修し、内容を変えながら佩川の詩集が幕末から明治時代にかけて多くの人に読まれたようだ」と説明する。展示は4日まで。

 『珮川詩鈔』の初版は1853年で、佩川が67歳のとき、それまで創作した漢詩などを編さんし刊行された。詩文集は当時、大ベストセラーとなり7版まで重ねられたという。版木は京都の草場家の分家から郷土資料館に寄贈された。

 県立博物館の展示物では、表紙に印刷されてある発行元が「書林 文榮堂、墨香堂」となっているが、京都で見つかった文集の発行元は「濯纓堂」と刷られ、館蔵版木に彫られた文字と重なる。

 藤井館長は「濯纓は佩川の号で、おそらく詩文集の最終版は草場家の親類縁者が発行元となり刊行を続けたのでは」と推理。「原版を何回も補修するのは、佩川が詩文集の内容にこだわった証拠。漢詩の質の高さが全国の学識者に広く受け入れられたようだ」と、藤井館長は佩川の教養の高さを再認識していた。

 問い合わせは市郷土資料館、電話0952(75)3002。

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