国営諫早湾干拓事業(長崎県)の開門問題を巡って争点になっている開門に代わる有明海再生の100億円の基金は、2016~17年に長崎地裁の開門差し止め訴訟の和解協議で国が提示し、佐賀県と県有明海漁協は受け入れを拒否した経緯がある。国側は昨年4月に開門しない方針を明確にして以降、一貫して基金による解決を進める姿勢を示している。

 長崎地裁では16年1月の開門しない前提での和解勧告後に協議が始まり、国は漁業団体の意見も踏まえて同年11月に100億円の基金案を提出した。漁場環境の改善や水産資源の回復などの取り組みを支援する内容で、有明海沿岸の4県と各漁業団体で基金を運用する仕組みも盛り込んだ。

 国は地裁の求めに応じて関係先の意見を集約し、基金案を拒否した佐賀県側を除く3県と各漁業団体は受け入れる意向を示した。和解協議は昨年3月に決裂し、地裁は翌4月に開門差し止めを命じる判決を言い渡した。国は判決を受け入れて控訴せず、山本有二農相(当時)は「開門によらない基金による和解を目指すのが問題解決の最良の方策」との意向を示した。

 農水省は2018年度予算の概算要求に基金の100億円を盛り込んだが、昨年末の予算案では計上を見送った。福岡高裁の開門関連訴訟で2月26日の結審後に和解協議へ移る可能性があり、農水省は和解案の検討のため漁業団体と基金の協議を非公開で進めている。

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