排水ポンプ増設などを条件に、基金を受け入る案を提示した漁協の運営委員長・支所長会議。左奥は徳永重昭組合長=佐賀市の県有明海漁協本所

 国営諫早湾干拓事業(長崎県)を巡り、佐賀県有明海漁協は31日、開門を前提としない基金案の受け入れについて検討を始めた。条件として、堤防内の調整池の淡水を諫早湾へ排水するポンプの増設を、漁業振興基金とは別枠で実施することなどを国に求める。各支所の意見を踏まえ、漁協としての最終方針を近く決定する。漁協は開門を巡る訴訟の当事者ではないが、農水省が提案する基金を運営する立場。開門調査を求めてきた漁協が態度を軟化したことで、確定判決が出ている開門の実現は一層厳しい状況に追い込まれそうだ。 

 佐賀市の漁協本所で開いた非公開の会議の中で、各支所の運営委員長や支所長らが協議した。

 国に要望するのは「基金とは別枠での排水ポンプの増設」「小まめな排水の確実な実施」「有明海再生事業の継続」の3点。会議の出席者によると、要望内容自体への異論はなかったが、事実上、開門方針の転換につながるため、一部の地区は支所に持ち帰って協議することを決めたという。

 調整池からの排水を巡っては、漁協が有明海の養殖ノリに悪影響を及ぼす可能性があるとして、国などに小まめな排水を再三要請してきた。農水省は2月26日に結審見通しの福岡高裁での和解協議を進めるため、1月16日に基金を使ったポンプ増設案を提案したが、漁協側は拒否していた。

 今回求める3点は、20日に開かれた佐賀、福岡、熊本3県の漁業団体でつくる諫早湾干拓事業対策委員会の中で、佐賀県側の要望として提示した。福岡、熊本も了承し、3県の漁業団体トップの連名で国に提案する用意があるという。委員会には農水省の幹部も出席していた。

 県有明海漁協の徳永重昭組合長は、有明海再生のため開門調査を一貫して求めてきた立場を強調する一方、「開門しないと大臣が断言している」と現実的には困難という認識を示した。その上で「自分たちは再生を望んでいる。最低限この条件だけは約束してほしい」と訴えた。

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