大会を前に練習に励む中学校の女子バスケットボール部(本文とは関係ありません)

教員負担、幅広く軽減を

 中学校での部活動のあり方が転換期を迎えている。過熱化に歯止めをかけ、教員の負担軽減を図ろうと、佐賀県教育委員会が毎月第3日曜に「統一休養日」を設けて今月で3カ月。休養日の取得率は9割前後と浸透しつつあり、中旬にはスポーツ庁の検討会議が「週2日以上の休養日を設定する」という骨子案を示した。学校現場からは「長年、放置されてきた課題がようやく動き出した」と評価する声が上がる一方で、部活動に限らない多忙化の要因を考える必要性を指摘する意見も出ている。

 「時間も体力も際限なく使ってきた」。こう話す県内の女性教諭はこれまでに文化系の顧問や体育系の部活を担当してきた。ソフトテニス部の副顧問だったときは、県外での対外試合が週末ごとに組まれた。50代になり、今は親の介護も担う。「休日は部活にかかわるのも一苦労」と話す。

 吹奏楽部顧問の別の教諭は、部活動と残業時間を合わせると時間外勤務が月に170時間に達するという。「『前の顧問はやってくれていた』という保護者の要望が強くて」とこぼす。

 部活は、専門性が高く熱心な教員が赴任して成果を挙げると、部員が増えて活発になる。そうなると、期待感と一緒に、休めない状況が後任に引き継がれると複数の教員が指摘する。「土日は休むとか、平日を短縮するとか言えない」

 昨年10月に県教委が示した「統一休養日」は、こうした流れに一石を投じた。県保健体育課の集計では11月に9割、12月には8割強が実際に部活動を休んだ。諸富中校長で県中学校体育連盟の渡瀬浩介会長(60)は「10年以上前から週末のいずれかを休むように各校に要望してきた」と話し、働きかけが下地になって浸透してきているとみる。

 ただ、2023年の佐賀国体に向けて、競技力の強化が求められる側面もある。休養日について競技団体の理解を得られても、団体主催の大会日程を実際に休養日から外してもらうには「調整に時間がかかるかもしれない」とみている。

 かつてないほどに部活動のあり方に目が向けられているが、「過重労働の要因は部活動だけではない」と、課題が矮小(わいしょう)化されかねないと懸念を示す人もいる。

 早朝や昼休みも部活に携わる教員は「休むと、せっかく積み上げた質が下がり、取り戻すのに時間がかかる。あまり休みたくない」と本音をのぞかせる。部活動ではなく「校内事務の軽減やテスト問題作成の外部委託など、もっと幅広い視点で見直す契機になってほしい」と望む。

 部活動を巡っては、複数顧問制や外部の指導者の力を取り入れることも県教委は模索している。県保健体育課の牛島徹課長は「まずは、さまざまな意見があることを学校や地域で共有したい。時間がかかるかもしれないが、生徒にとっても教師にとってもいい方向に進むよう考えていきたい」と話す。

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