自宅で山口祥義知事から感謝状を受け取り、記念撮影する中島宏さん(右)=武雄市西川登町弓野(県提供)

 人間国宝の陶芸家・中島宏さん(76)=武雄市=が、半世紀をかけて収集した「古武雄」の陶器や陶片の一大コレクションを佐賀県立九州陶磁文化館に寄贈した。これまで武雄の陶磁器類は「二彩唐津」や「武雄古唐津」と呼ばれてきたが、「古唐津」とは異なる作品群として再評価する動きが高まっている。寄贈されたコレクションは、「古武雄」の学術・芸術的な調査を深める上で欠かせない研究資料になる。

 中島さんのコレクションは総額で数億円の市場価値があるとみられ、「鉄絵緑彩松樹文大平鉢」(佐賀県重要文化財)は国重文級と同格の価値があると指摘する研究者もいる。

 「古武雄」は民藝(みんげい)運動の柳宗悦(やなぎむねよし)に見いだされ、棟方志功や小山富士夫らに称賛された。「雑器」としてのイメージがあるが、江戸の大名屋敷跡や京都の公家屋敷をはじめ、全国各地で出土し、当時は高級品として用いられていたことが近年の調査で分かってきた。

 唐津焼の陰に隠れて目立たなかった「古武雄」だったが、2002年に根津美術館(東京)で開かれた展覧会をきっかけに注目を集めるようになり、中島さんらが提唱する「古武雄」の呼称が定着した。

 「古唐津」を鉄絵などモノトーン的な焼き物と見れば、「古武雄」は褐色の土に白い化粧土を施して装飾したカラフルな焼き物といえる。緑釉や鉄絵、かけ流し、象嵌(ぞうがん)など多彩な文様表現が魅力で、豪快な筆遣いと釉薬をかけ流した斬新な文様が現代アートにも通じる。“中島ブルー”と称される中島さんの独創的な青磁の世界は、収集してきた「古武雄」からの着想もある。

 九州陶磁文化館は、有田焼の優品を集めた柴田コレクションや蒲原コレクションを有するが、土もののコレクションはなかった。鈴田由紀夫館長は「有田焼に古武雄が加わることで、県内の陶磁器をより詳しく紹介できるようになる」と喜ぶ。

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