県に寄贈された中島さんのコレクションの一つ「鉄絵緑彩松樹文大平鉢」(17世紀前半)

陶芸家・中島宏さん

 佐賀県武雄市の青磁作家で重要無形文化財保持者(人間国宝)の中島宏さん(76)が、50年にわたって収集してきた「古武雄」の陶器約600点を佐賀県立九州陶磁文化館(西松浦郡有田町)に寄贈した。「古武雄」は「古唐津」の流れをくみながらも、その独創性から価値が再評価されている。江戸期の県内陶器が考察できる貴重な資料で、同館の鈴田由紀夫館長は「日本の陶磁史における肥前陶器の役割が再認識できる強力なインパクトを持つ作品群」と話す。 

 寄贈されたのは622点。内訳は古武雄601点、陶片13点、参考品の中国陶磁8点。古武雄は大皿、甕(かめ)、つぼ、瓶などで、中島さんのコレクションのほとんどという。

 古武雄は、江戸時代に佐賀藩武雄領内で生産された陶磁器群。古唐津と同一分類されてきたが、大胆な筆遣いや文様に古唐津とは違った独創性があり、再評価されている。近年は、中島さんの収集品を中心とした企画展が県内外で開かれてきた。

 寄贈品には、多彩な作品が並ぶ。県重要文化財の「鉄絵緑彩松樹文大平鉢」は鉄絵緑彩と呼ばれる古武雄の代表的な作品。口径49・2センチで、褐色の素地に白の化粧土を施し、鉄絵の具で松樹文を線書きして緑釉(りょくゆう)で彩色している。

 このほか、中島さんが「前衛的で抽象画の世界」と評する、緑と褐色の釉薬をひしゃくで流しかけた「緑褐釉目(くしめ)草文大平鉢」(17世紀前半)や、象嵌(ぞうがん)技法を用いてツルを描いた水指(みずさし)など、大胆さや精緻さ、多様性のある作品がある。

 中島さんは「個人が所有するのではなく、公的な施設で役に立ててもらえれば。古武雄の雄大で自由な世界を広く紹介してほしい」と話す。28日は山口祥義知事が中島さん宅を訪れ、感謝状を贈った。同館では今秋にもお披露目展を開く。

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