ハウスのブドウ園から粘土質の泥をかき出す作業に当たる佐賀農業高の生徒ら=27日、福岡県朝倉市杷木

ハウスのブドウ園から粘土質の泥をかき出す作業に当たる佐賀農業高の生徒ら=27日、福岡県朝倉市杷木

 九州北部豪雨の被災地・福岡県朝倉市の復興を支援しようと、佐賀農業高(杵島郡白石町)の1、2年41人が27日、同市のブドウ園で泥をかき出すボランティアに当たった。被災から半年。住宅からの土砂撤去が進んで生活再建へ向かっているものの、農地は手つかずの場所も少なくなく、なりわい再生は先が見通せない。「災害はまだ終わっていない」。生徒たちは、改めて被災地が今も必要とする支援について考えた。

 

 「山からは離れて見えるのに」。同校農業クラブ会長の中島雄大さん(17)は、朝倉市杷木にあるハウスのブドウ園に入り、あぜんとした。地面にシャベルを入れると、厚さ約10センチの粘土が剥がれ、本来の土が顔を出す。ブドウの棚を傷つける恐れのある重機は入れない中、他のボランティアも含め約80人の手作業でひたすら泥を搬出した。

厳しい被害状況

 園主は同地区のカキ・ブドウ農家で、現在はみなし仮設で暮らす武田忠幸さん(58)。カキ2ヘクタール、ブドウ50アールを作っているが、自宅を含めその大半が土砂の被害を受けた。「家の裏のブドウ畑には70センチの土砂が入った。棚が崩れて入れないカキ畑もある」と厳しい被害状況を明かす。

 営農再開に向け、行政から資金的な支援は受けられるものの、武田さんのハウスのように、復旧のためにまず人手が必要という農地もある。特にブドウなどの果樹は、幹の回りの土砂を早く取り除かないと枯れる恐れがある。

 同じ農地でも、山間部の復興はさらに遠い。いまだに倒木などで道路が寸断されたままの場所もあり、その先にカキ畑をもつ農家は自分の農地に入ることさえできない。武田さんは「優先順位があるからね。仕方ないことだが…」ともどかしさをにじませる。

 高校生たちは約3時間の作業で、ブドウ園から8割ほどの泥を搬出した。一緒に作業に携わったNPO「日本九援隊」(福岡県大野城市)の肥後孝代表は「被災当初から支援してきたが、昨年11月ごろからボランティアの数が激減した。まだ農地復旧に人手が必要だと知ってほしい」と訴える。

「やりましょう」

 中島さんは「隣県の高校生として力になりたかったけど、少しは役に立てたかな。でもまだまだ人の力が必要だと、改めて思った」。生活環境の整備からなりわい再建へ復興の段階が移りつつある今だからこそ、関心を向けて支援を考えないといけないと痛感した。

 「被災から2週間くらいはやる気も起こらず、何もしなかった」と武田さん。「でもボランティアの方に『やりましょう』と言われると、やらなきゃと思う。高校生なんて、元気がいいからね」と、笑顔を絶やさない若い力に目を細めた。「今からが復興よ」。自らに言い聞かせるようにつぶやいた。

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