若さか、経験か―。“夢の対局”がついに決まった。将棋ファンならずとも、注目の一戦に違いない。羽生善治永世七冠に、29連勝記録の藤井聡太四段が挑む◆藤井四段の強さは、勝率8割という驚異的な数字が裏付ける。今回の公式戦初顔合わせも、将棋界最高位「名人」の佐藤天彦名人を破ったから。羽生さんと臨んだ記者会見でも「勝負の上では対等という気持ちで全力で戦いたい」と、まったく物おじしない◆羽生さんは以前、こんな質問をよく受けたと著書『決断力』で明かしている。「七冠を達成した(25歳の)当時と今では、どちらが強いですか?」―。羽生さんは、経験を重ねた今の方が強いと思いつつ、若さの勢いも認めざるを得ないと考える。間違いや荒っぽいところがあっても勝ち進めたからだ。「瞬間的な若さの特権だったのだろう」◆四段に昇格したばかりの羽生さんに「坊や、今日、対局かい」と声をかけた人物がいた。史上最年長で名人になった故・米長邦雄さんで、名人位を奪うまでの変貌がすさまじい。「若手に教えをこうて、最先端の将棋を一から学び直したのだ。フルモデルチェンジ。こんなことが五十歳に近づいた人のできることだろうか」と羽生さんはつづる◆その米長さんの年齢に、羽生さんも近づいた。ふたりの天才の対局は来月17日、東京で。(史)

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