開発した「サニタイザー」の機能を説明する川口弘行・県情報企画監

 マイナンバー制度の本格運用を前に、情報漏えいを防ぐために自治体が導入したセキュリティーシステムが原因とみられるトラブルが全国で相次いだことを受け、川口弘行・佐賀県情報監(46)が開発した対策ソフトが注目を集めている。データの安全性を確認する性能を高め、国産ワープロソフトの文書にも対応。問題のないメールや添付書類が自動で削除されるのを防ぐ効果が期待されるとして、佐賀県など約100自治体が採用している。

 自治体はマイナンバー関連システムと一般事務用端末、インターネット接続システムを分離し、メールなどで届いたデータを事務用端末で使う際にはウイルスを除去する「無害化」システムでチェックすることが決められている。

 ただ、システム導入の副作用として、問題のないメールや添付書類が、迷惑メールや安全性が疑わしいファイルと誤認され、自動的に削除されるトラブルが続出。45都道府県の300超の市区町村で業務に支障が出ていたことが分かった。

 川口情報監が開発したのは「サニタイザー」というソフトで、データの構造を分析して不正なプログラムを発見、ピンポイントで除去する。誤認によるファイルの自動削除を防ぎ、書類の内容を読み取れない「文字化け」も解消したという。

 利用価格は年間30万円からで、官公庁や学校などで利用されている国産ワープロソフト「一太郎」にも対応。海外製の無害化システムでは受け付けないことが多かった文書も見られるようにした。

 川口情報監は、芝浦工業大学大学院で工学の博士号を取得。東京都や高知県で電子行政システムの構築に携わった経験がある。県の非常勤嘱託職員で、3月に任期を終了する。ソフト販売会社を佐賀市に設立しており、4月以降、事業を本格化させる。

 川口情報監は「サイバーセキュリティーの専門家は行政機関に少ない。情報システムを使った行政サービスの向上に向けて、培ったノウハウを役立てていきたい」と話す。

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