ニセ電話詐欺事件で、20歳未満の少年が加害者になるケースが目立っている。佐賀県警が昨年1年間に詐欺容疑で摘発した23人のうち少年は7人で、5人が被害者から現金を直接受け取る「受け子」と呼ばれる役割を担っていた。家出をした少年らが犯行グループの大人の指示で加担させられている背景があるようだ。

 昨年12月、佐賀市の80代女性をだまして現金100万円を受け取ったとして、当時14歳だった中学3年の男子が詐欺容疑で佐賀南署に逮捕された。少年は出身地の関東地方の友人の誘いでニセ電話詐欺に関与し、佐賀市の女性の他に複数の詐欺で受け子を担った。

 捜査関係者によると、受け子の少年は家出をしているケースが多い。逮捕された少年も家出をしていて、取り調べや家族との面会では号泣し、被害額を弁償する意思を示すなど反省しているという。

 少年らは主に、先輩や知り合いからの紹介で犯罪に巻き込まれている。

 現金を受け取る現場では県や市の職員、被害者の子どもの会社の同僚や部下を装う。犯行グループからは事前に「サラリーマンに見えるようにスーツを買え」などと指示され、組織からは、逮捕された際の警察からの取り調べでの受け答え方なども教えられるという。

 被害者から現金を受け取ることができれば、報酬や現地での生活資金が支給される。これらを目当てに、犯罪と分かっていながら引き受けてしまうらしい。

 支給の方法はさまざまで、事前にある程度の現金を渡される場合もあれば、だまし取った現金から少年が一定額を抜き取ったり、犯行グループの指示役が改めて支払ったりすることもある。ただ、指示役の裁量で金額が左右され生活費も十分に賄えないケースがほとんどという。

 受け子は「リクルーター」と呼ばれる勧誘役が集める。昨年12月に詐欺容疑で佐賀南署に逮捕された男(33)も勧誘役で、知り合いの少年2人を呼び込んだ。

 勧誘役は複数の人脈を持ち、受け子が逮捕されてもすぐに別の人物を補充するという。捜査幹部は「受け子が逮捕されても何とも思っていない。道具だと考えている」と指摘する。

 逮捕された少年らはスマートフォンのLINE(ライン)などで勧誘役らと連絡を取り合っていた。通信端末や会員制交流サイト(SNS)の普及で手軽に接点を持ったり連絡が取れたりするようになった状況が、加害者の低年齢化にもつながっていると捜査関係者はみている。

 昨年のニセ電話詐欺による県内の被害件数は64件(前年比5件減)。被害総額は約1億4400万円で、前年に比べて約8100万円減少し、3年ぶりに2億円を下回った。減少傾向にあるように見えるが、少年を利用する犯行は逆に増加する恐れがあると危惧している。

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