厚生労働省は6日、労働条件が劣悪なブラック企業からの求人をハローワークで拒否できる制度に関し、現行の新卒求人だけでなく、中途採用やパートなど全ての求人に対象を拡大する方針を固めた。同時に、民間の職業紹介事業者もこの制度を利用できるようにする。行政指導に従わない悪質な企業の社名公表制度も新たに設ける。【共同】

 官民の職業紹介事業全体を通じてブラック企業の求人を全面的に締め出すことになる。安倍政権が掲げる働き方改革に合わせ、質の高い求人を提供する狙いがある。

 7日に開かれる労働政策審議会の部会に示す。来年の通常国会で関連法を改正し、3年以内の実施を目指す。

 求人拒否の対象は、残業代不払いなどの法令違反を過去1年に2回以上繰り返したり、セクハラで社名公表されたりした企業で、ハローワークの新卒求人を対象にした同制度は今年3月から始まっている。

 求人の内容が採用時に変わる場合、変更点を求職者に明示するよう企業に義務付け、従わない場合は勧告や社名の公表に踏み切る。わざとうその内容の求人票をハローワークなどに出した企業は罰則の対象とし、制度全体を強化する。

 またハローワークや民間の職業紹介事業者の事業内容に関する情報公表も強化。求職者や求人企業が適切な事業者を選べるよう、紹介の実績や就職後6カ月以内に離職した人数、事業者が企業から受け取る手数料の額を公表するよう事業者に義務付ける。“サクラ”を使って短期間に紹介と退職を繰り返させ、企業から手数料を荒稼ぎするような悪質な事業者の参入を防ぐ狙いもある。

=実態調査の体制整備を=

 ブラック企業問題に詳しいNPO法人「POSSE」の今野晴貴代表理事の話 ブラック企業による被害が相次いでおり、求人拒否の対象拡大は非常に良いと思う。ただ対象企業の基準はハードルが高く、実際に求人が拒否されるケースはわずかだ。また求人内容と実際の就労状況の違いをどうやって把握し指導するのか。うその求人票にだまされたと感じる人がその企業に現役で勤めていれば、実名での告発はできないのが実情だ。匿名の告発があっても、ハローワークには事実関係を調べる強制力のある権限はない。ハローワークの調査権限の拡大や職員増員など体制の整備が欠かせず、実効性のある制度になるか疑問だ。

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