昨春、図書館が地元農家とコラボし開いたピザづくりイベント。合わせて食や農業に関する本を紹介・貸し出しした

「図書館での思い出エピソードを寄せてください」と話す宮﨑由巳さん(右)=鹿島市

 今年100周年を迎える鹿島市民図書館は「私と図書館」をテーマにしたエピソードを募集している。利用者それぞれの思い出を図書館にとっての財産にしようという試みで活字離れが進む中、今後の図書館のあり方を考えるヒントにする。優良作品は図書だよりで紹介、100年記念誌への掲載も検討している。

 「勉強のため通い詰めた」「好きな人に告白した」。利用者からは徐々に反響が寄せられ始めた。職員の宮崎由巳さん(39)は「改めて図書館がさまざまな本や人が出合う場所だと実感した」と話す。

5年で3万冊減

 宮崎さんは2001年に図書館が現在のエイブル1階に移り開館した当時から勤務する。図書館に足を運ぶ人が減少する現状を肌で感じている。活字離れや電子書籍の普及などが相まって、鹿島市では13~17年の5年間で約3万冊貸し出しが減少した。

 こうした現状に近年、図書館側はさまざまな工夫を実践している。昨秋は地元の野菜農家とコラボして調理試食会を開催。関連本を紹介することで「入り口」を広げる企画だ。ほかにも自力で図書館に足を運べない高齢者のニーズに合わせ、施設に出向いて読み語りや出張貸し出しを提供。宮崎さんは「待っているだけでなく、さまざまな場所に顔を出し、たくさんの本を手にとってもらえるように考える毎日です」という。

見つめ直す

 日本図書館協会がまとめた統計(16年)によると、鹿島市は全国の規模が同じ177自治体のうち、人口あたりの貸出冊数が上位5番目。前田英明館長(59)は現在の鹿島高図書室へ継承される「藤津図書室」が1899(明治32)年、佐賀県初の図書室として学生たちが主導して開設したことを挙げ、「鹿島は読書意識が高く、素晴らしい図書文化が根付くまち。図書館の存在意義を見つめ直す1年にしたい」と話し、エピソードの執筆を呼び掛ける。

多彩なイベント

R・キャンベル氏講演も

 鹿島市民図書館は1918(大正7)年に佐賀図書館の分館として設立。今年100周年イヤーとしてさまざまイベントを展開する。開館記念日の12月1日には日本文学研究者ロバート・キャンベル氏を招き講演会を開催予定。「私と図書館」エピソードの投稿はカウンターかメールで受け付ける。ペンネーム可。アドレスはkashimal@theia.ocn.ne.jp。問い合わせは市民図書館。電話0954(63)4343。

このエントリーをはてなブックマークに追加