「ベン・ハー」は3度映画化され、チャールトン・ヘストン主演の1959年版が印象に強い。何といっても戦車競走の場面が圧巻。この競走には賭けも絡む◆原型は、紀元前4千年のバビロニアで行われていた、騎手を乗せたカートを馬で引く賭博とされる。ローマ時代には暴君ネロが、移動中にもダイス(サイコロ)博奕(ばくち)ができるように改造した馬車を使っていたという。幾度、賭博禁令が出されても効き目がなかったのは、権力者自身がやめられなかったことと無関係ではあるまい◆わずかの審議で「カジノ法案」が衆院を通った。成立すればルーレットやカード、ダイスなどを備えた賭博場が日本のどこかにできるだろう。ギャンブル依存症の疑いのある人は536万人。それに悩まされる家族もいる。依存症は多重債務の生みの親ともいわれているのに…◆対策は政府が講ずると言われても、ここまで増えた患者の数を見ると、にわかには信じがたい。地域活性化を錦の御旗に掲げているようだが、そもそも客が損をしないと、収益が出ないのがカジノだ。経済成長だけでいいはずがない◆「人間は賭けをする動物である」とは、英国の作家チャールズ・ラムの言葉である。それが人の業とするなら、いかに古代からあるものであっても、遠ざけるようにするのが人の知恵だろう。(章)

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