宵曳山で唐津神社前に到着した11番曳山「酒呑童子と源頼光の兜」(左)=2日、唐津市

博多祇園山笠の「追い山」で、櫛田神社の境内を駆け抜ける舁き山=福岡市博多区

戸畑祇園

【上】水しぶきを上げて河原を走る亀蛇=2012年11月23日、熊本県八代市【下】日田祇園

松浦晃一郎氏

 唐津市の「唐津くんちの曳山(ひきやま)行事」など18府県33件の祭りで構成する「山・鉾(ほこ)・屋台行事」が国連教育科学文化機関(ユネスコ)の無形文化遺産に登録が決定した。九州からは五つの祭りが含まれる。唐津曳山取締会など各関係団体は来年、登録記念の祝賀行事を共同開催することを検討している。

 ほかの四つの祭りは福岡市の「博多祇園山笠」、北九州市の「戸畑祇園大山笠」、熊本県八代市の「八代妙見祭」、大分県日田市の「日田祇園」。ともに“世界の宝”となった祭りを知れば、唐津くんちの個性を知ることにもつながる。写真とともに特徴を紹介する。

■博多祇園山笠

 770年以上の歴史を持つとされる。「舁(か)き山」と呼ばれる山車を博多の総鎮守、櫛田神社に奉納する。男衆が舁き山を担ぎ、約5キロの区間で速さを競う「追い山」がフィナーレ。30分前後で勇壮に駆け抜け、多くの観光客を引きつけている。(7月1~15日)

■戸畑祇園大山笠

 地域ごとに分かれて4台の山笠が街を練り歩く。昼はのぼりを立て、夜は提灯(ちょうちん)を飾るのが特徴。12段に309個がともり、「提灯山」として親しまれている。ハイライトは中日の夕刻の「競演会」で山笠が勢ぞろいする。(7月第4土曜日を中日に3日間)

■八代妙見祭

 八代神社(妙見宮)の秋祭り。クライマックスのお上り行列は、みこしや馬、獅子舞、毛槍(けやり)、甲冑(かっちゅう)武者、笠鉾など40の出し物が列をなし、約6キロの道のりを歩く。ガメの愛称で呼ばれる亀と蛇が合体した想像上の動物「亀蛇(きだ)」も登場する。(11月22、23日)

■日田祗園

 天領日田で300年以上前に始まったとされ、人形を載せた高さ8~10メートルの山鉾が各地区を巡行する。本番2日前には計9基が一堂に会する「集団顔見世」があり、多くの見物客でにぎわう。篠笛や太鼓、三味線による祗園囃子(はやし)も欠かせない。(7月22、23日)

◆地域主導で文化発信を

 松浦晃一郎(前ユネスコ事務局長)

 無形文化遺産への登録で、世界的に注目すべき祭礼行事が日本各地にあることが認知される。2020年に東京五輪・パラリンピックも控えており、地域主導で日本文化を海外に発信し、活性化につなげてほしい。

 同じユネスコの世界遺産は、人類にとっての「顕著な普遍的価値」が認められるものだけを登録する。歴史的建造物なら原形をしっかりとどめ、造られた当時のまま現存していることが条件になる。

 しかし無形文化遺産にそうした条件はない。歌舞伎のように、時代に合わせて演出などを変化させていくことは容認される。重要なのは地域社会に根を下ろしていることだ。

 33行事に関して言えば、神霊を迎え、地域の安寧を祈るといった本来の趣旨を次世代に受け継いでいくことは大切だ。その上で、外国人を含め、より多くの人に参加してもらえるよう努めてほしい。祭りの体験が互いの文化を認め合い、理解を深め合うきっかけになるよう願っている。

 まつうら・こういちろう 59年外務省入省。99~09年にユネスコ事務局長を務め、無形文化遺産の保護制度を創設した。山口県出身。

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