鳥栖市内のアスベスト(石綿)製品の工場で働いて健康被害を受けたとして、元労働者や遺族らが国に損害賠償を求めた訴訟は12日、佐賀地裁(立川毅裁判長)で新たに17人の原告と和解が成立した。金額は計約7535万円で、対象には守衛だった男性も含まれている。弁護団によると、守衛が認められるケースは全国でも珍しいという。

 弁護団などによると、内訳は元労働者1人と、亡くなった元労働者5人の遺族16人で、賠償額は労働者1人当たり1430万~約400万円。

 元労働者の一人は守衛を30年近く務めた鳥栖市の男性で、工場内の巡回や、飛散した石綿の回収もしていた。約3年前にアスベスト関連疾患のびまん性胸膜肥厚で亡くなり、労災認定された。伊黒忠昭弁護団長は「国は職種ではなく、仕事の具体的な内容で判断することが明らかになった」と意義を強調し、男性の長男(53)は「救済を望んでいる人たちの励みになれば」と話した。

 原告は第1次~5次提訴までで計76人に上り、このうち和解した原告は55人になった。

 アスベスト訴訟を巡っては、条件を満たせば、国が和解による賠償金支払いの手続きに入る。この枠組みでの和解は工場の元労働者がほとんどだが、工場に出入りした運送業の男性と和解したケースもある。

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