洪水のようにあふれる情報の中で、不安をかき立てられる母親の存在が指摘されています。

 産後3カ月までの母親は高齢者並みに体力が低下し、子連れでの外出は難しく、家にこもりがちになります。そのような母親にとって、気軽に情報を検索できるスマートフォンは子育ての必須アイテムです。実際に7割以上の母親が子育てのためにウェブサイトやSNSを利用しています(乳幼児の親子のメディア調査、2013)。SNSの利用は、育児生活における孤立感と焦燥感の解消に有効との報告もあります。その一方で、SNS疲れや情報漏えい、誹謗(ひぼう)中傷、真偽不明の情報に振り回されるなどの問題が起こっています。

 行政や公的機関、例えば公益財団法人母子衛生研究会は「赤ちゃん&小育てインフォ」で妊娠・出産・子育て情報を提供するとともに、インターネット相談室を開設しています。しかし、膨大な情報から、適切で自分に有用な情報を集めることは難しいです。日常的にインターネットを利用している人でも、行政のホームページを閲覧することは少ないと言われています。母子保健関係者は、妊婦や母親が適切な情報を活用できるように助言する必要があります。

 昔から子育ては十人十色と言われてきました。育児にはいくつもの正解があるのに、一つの答えを求める母親が多いように思います。大切な子どもに間違いがないようにとの必死の行動だと理解できますが、それが母親自身を苦しめ、育児をつらいものにします。ネット情報に限らず、これが正しいと言い切られた方が母親は安心できますが、実際にはどちらでもよいことが多いのです。

 私どもが開発した教材「新生児のための沐浴(もくよく)」(https://mercury.med.saga-u.ac.jp/newbornbathing/)では、沐浴の手順のうち、根拠がないものはどちらでもよいと説明し、個人に合った方法を選択できるようにしています。ネットで検索するだけでなく、助産師や保健師を活用してください。(佐賀大学医学部看護学科・生涯発達看護学講座教授 佐藤珠美)

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