〈十年 常に苦学し/一たび上り 謬(あやま)りて名を成す/第に擢(ぬきん)でらるるは未(いま)だ貴(たっと)しと為(な)さず/親に賀して 方(まさ)に始めて栄(は)えあり…〉。中国・唐代の詩人、白居易(白楽天)の詩の一節である◆10年間、苦学を続けて思いがけず、一度で名を挙げた。でも及第しただけでは貴いとはいえない。親に喜びを伝えてこその栄誉というもの―。白楽天は日本の平安時代文学に大きな影響を与えた人で、官僚でもあった。詩は29歳で「科挙(かきょ)」に合格した時に詠んだものだ◆科挙はエリート官僚への道であり、試験に合格することは至難中の至難といわれた。及第者には長安の都で催される祝宴が待っていた。春の日、白楽天は宴の後、ほろ酔い気分で帰郷する。詩はその高揚感にあふれている。喜んでくれる親のことを思ったのだろう◆進学のための受験は、現代の日本においても人生の大きな試練の一つ。大学入試センター試験がきょうから始まる。入試シーズンは、春3月まで続く正念場だ。その間、厳しい寒さとピークを迎える緊張とが相まって、体調の管理は難しい◆受験生だけでなく、支える家族も苦労がある。白楽天も親のことを詩に詠むくらいだ。一家挙げて協力してもらったのだろう。喜びを分かち合えるその日を目指して、平常心で悔いなく、力を出し切ってほしい。もう、ひと頑張りだ。(章)

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