大阪大が昨年2月に実施した入試で工学部や理学部の一部学科などの必須科目だった物理の出題と採点にミスがあり、本来合格するはずの受験生30人が不合格となっていた。男性28人と女性2人で、他の大学に在学したり、浪人して予備校に通ったりしている。さらに9人は第2志望の学科に入学している。あってはならないミスである。

 大阪大は「受験生の将来に極めて大きな影響を及ぼした」と謝罪、30人を追加合格させた。希望者には今年4月の入学を認め、他大学から2年生への転入や予備校費用の補償、第2志望から第1志望の学科への移籍などの対応を進めるとしている。しかし遅きに失したと言わざるを得ない。

 入試から1年になろうとしている。この間、外部から3回にわたり出題ミスの可能性を指摘されたが、最初は問題作成責任者の教授と副責任者だけで検討して認めず、3回目に別の教員も加わり、ようやくミスに気付いたという。大学側は「思い込みがあった」と説明するが、再発防止のため、より詳細な事実関係の究明が求められよう。

 貴重な1年を失った追加合格者には、できる限りのことをすべきだ。また入試への不信が広がらないよう、大学入試センター試験で本番を迎える入試シーズンに向け、全ての大学で入試問題のチェック態勢などを総点検しておく必要がある。

 大阪大によると、物理の問題で正しい解答が複数あるのに特定の解答のみを正答とし、これを前提にした次の問題も不適切だった。昨年6月に高校教員らでつくる「物理教育を考える会」のメンバーからミスを指摘され、8月には予備校講師からメールで同様の指摘があったが、問題作成責任者の理学部教授と副責任者の2人で検討し「誤りはない」と説明した。

 ところが12月になり外部から、数式を使い詳細にミスを説明したメールが大学に届き、別の教員4人も加わって検討。その結果、誤りが明らかになり、採点をやり直したところ、不合格とした30人が合格ラインに達していたことが分かった。

 8月にミスを指摘した予備校講師は教授らの説明に納得せず、直後にミスを詳しく指摘するメールを再び送った。しかし反応はなく、9月には文部科学省にも対応を求めたという。漏えいの恐れもあり、入試問題作成が厳しく管理されているのは分かるが、もっと早く大学内でミスの情報が共有され、調査に動けなかったかと悔やまれる。

 大学入試のミスは後を絶たない。2001年に、山形大の工学部で国語の配点ミスが成績開示を求めた受験生の指摘で明らかになり、さかのぼって調査したところ、5年間で計428人が誤って不合格になっていた。

同じ年に富山大人文学部では、過去に合否判定プログラムのミスで計16人が不合格となり、大学側が2年間も隠蔽(いんぺい)していたことが発覚。最近でも、15年に中京大の出題ミスで6人が、大阪府立大で採点ミスから2人がそれぞれ追加合格した。

 入試ミスは、どこでも起こり得る。予備校などから指摘されることが多いといわれるが、それを軽く扱わず、少しでもミスの可能性があれば、直ちに組織的な検証に取り組む態勢を取っておかなくてはならない。対応の遅れが受験生の将来を大きく左右することを改めて肝に銘じてほしい。(共同通信・堤秀司)

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