ボードを手にした野田政輝さんと「Sun-kissed」のメンバー=熊本県南阿蘇村のベリー樹ベリー

ボランティアスタッフの思いが描き込まれている休憩所の壁=熊本県南阿蘇村のベリー樹ベリー

収穫が始まった野田さんのイチゴ=熊本県南阿蘇村のベリー樹ベリー

看板メニューの資本(シフォン)ケーキには果物とヨーグルトクリームが添えられる=南阿蘇村の久永屋

 2016年4月に起こった熊本震災で甚大な被害を受けた熊本県南阿蘇村。佐賀女子短大(佐賀市本庄町)のボランティアサークル「Sun-Kissed(さんきすと)」は、何度も同村に通い支援を続けている。昨年12月にはメンバーが、地震以降はじめての収穫を迎える野田政樹さん(58)のイチゴ観光農園「ベリー樹(じゅ)ベリー」を訪れ、手作りのウエルカムボードをプレゼントした。

 同サークルは震災後に発足した。被災した家屋や農地の片付け、南阿蘇鉄道沿線の草取り、保育所や仮設住宅の訪問など、今も震災復興の支援を続けている。

 汗をかき草を取っても草は次々に生え、地元を離れる人が増えたのか更地も増えた。代表の組脇えりかさん(24)=こども未来学科保育コース2年=は「自分たちの行動が支援につながっている実感が薄く、不安が募った」と振り返る。

 そんな中、支援を続けてきた野田さんのイチゴ農園が震災後初めての収穫を迎えた。ハウスを建て、6トンの土をプランターに入れてイチゴ6000株を植え、何度も野田さんと作業をともにした観光農園。そのオープンを控えた昨年12月、サークルで「たくさんのお客さんでにぎわうように」と願いを込めて作ったボードを野田さんに贈った。

 組脇さんらメンバー3人は3カ国語で「いらっしゃいませ」と書いたボードを野田さんに手渡し、「野田さんと出会えたことも、イチゴがなったこともうれしい」と涙した。野田さんも「ありがとう、ありがとう」と、目を潤ませた。

 地震は、野田さんが丹精込めて育てたわわに実ったイチゴを襲った。農地は地割れで営農を続けることが難しかった。「もう農業を辞めよう」とうなだれた野田さんの元に、全国からボランティアが駆けつけた。その数は延べ400人を超え、野田さんは「元気とパワーをくれたみんなのために、再び立ち上がろうと決めた」と話す。新しい農地探しから始まった再オープンまでの道のりを、ボランティアという伴走者とともに走ってきた。

 ハウスの脇に作った休憩所の壁には「来る度に好きになる熊本」「熊本が元気になりますように」など多くの人の思いが壁に踊る。2年ぶりに実った野田さんのイチゴは、再建されたハウスの中で観光客を待ちわびている。

▽住所 熊本県阿蘇郡南阿蘇村河陽2038(南阿蘇村役場新庁舎近く)

▽電話番号 090(4484)9889

▽営業時間 午前9時~午後5時(不定休、イチゴがなくなり次第終了)

▽料金 食べ放題大人1800円(中学生未満1100円)、持ち帰りは100グラム200円(プランはイチゴの量による)

シフォンケーキ味わって 長陽駅舎のカフェ「久永屋」

 熊本地震発生から、1カ月後に再開した長陽駅舎内のカフェ「久永屋」。佐賀市出身の久永操さん(37)=南阿蘇村=が、昔ながらの駅舎内でシフォンケーキを提供する。

 看板メニューは「資本(シフォン)ケーキ」(680円)。ヨーグルト風味のなめらかなクリームと相性ばっちりだ。「浜川さん家の特選紅茶」「ココは何処(どこ)だココア」などメニュー名もくすっと笑える。店内にはダイヤル式電話やストーブがあり、懐かしさが漂う。

 熊本地震から1年半がたった今も、地元の子どもや県外から訪れる人は多い。久永さんは「村の人と県外から来た人がくつろいで、話せる場所にしたい。ふるさとみたいに帰ってきてほっとしてもらえたら」と話す。

 ▽熊本県阿蘇郡南阿蘇村大字河陽3440の4長陽駅舎。土・日・祝日のみ営業(午前11時~午後6時)。問い合わせは、電話0967(67)1107

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