鍋島緞通を織る吉島夕莉子さん=佐賀市大和町の無寒暑庵

「魅力伝える」使命を胸に

 佐賀市大和町川上峡に「無寒暑庵(むかんじょあん)がある。江戸時代から続く佐賀の伝統工芸「鍋島緞通(だんつう)」の織元「吉島家」の流れをくむ吉島伸一さんが2012年に設立した会社で、工房とギャラリーを兼ねる。

 その工房で、緞通の技術習得に努めているのが、吉島夕莉子(ゆりこ)さん(26)=佐賀市=だ。

 夕莉子さんは、吉島伸一さんの孫に当たる。幼い頃から作業する家族の横に座り、作業を手伝いながら織り方を覚えた。県外の美術大学に通い、織りや染めを基礎から学んだ。

 緞通は江戸時代、有明海の干拓地で育った上質の木綿で作られた手織りじゅうたん。高さ1・6メートルほどの織り機に経糸(たていと)を張り、染色した織込糸を巻きつけた後、緯糸(よこいと)を通し、締め金でたたいて目を詰める。1畳ほど織るのに1カ月半かかる。

 夕莉子さんは工房内に「トン、トン」と締め金の音が響く工程が好きだ。たたきの作業は力加減を均一に保たないと柄が乱れる。「織り跡で、その時の心の揺らぎが分かる。心が少しでもざわつくと、緯糸が波を打つ」。一段一段、平常心で織る難しさを痛感する。

 大型店で安価な敷物が手に入り、取り巻く環境は厳しさを増す。「緞通の魅力を伝え、流行をつかんだデザインやインテリアとの調和を図りたい。それが私の使命」と夕莉子さん。織り機に向き合う姿から、伝統を守る「覚悟」が伝わってきた。

メモ 無寒暑庵は長崎自動車道佐賀大和インターから国道263号を北へ車で約2分。ギャラリーでは展示品の購入も受け付けている。希望の大きさや図柄、色合いの相談にも応じる。電話0952(37)8546。

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 2018年が明けた。新しい年の始まりに、決意を新たにした人も多いだろう。夢や目標の実現に向け、それぞれの道で「一芸」の取得に励む九州・沖縄各県の若手をリレー形式で紹介する。

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