少子高齢社会の進展とともに、表面化してきたのが空き家の増加である。今後、急速に増えると予測され、新たな社会問題になる恐れが高まっている。

 総務省の住宅・土地統計調査によると、全国の空き家は2013年時点で約820万戸あり、住宅総数の13・5%を占める。20年間で約1・8倍になった。佐賀県内は4万3300戸あり、12・8%。これはおよそ8戸に1戸はだれも住んでいないということになる。23年には全国で5戸に1戸、33年には3戸に1戸が空き家になるとの民間研究所の試算もある。

 空き家の増加を受けて、2015年に空き家対策特別措置法が全面施行された。これにより自治体は放置すれば倒壊の恐れのある家屋などについて、所有者に撤去や修繕を助言・指導できるようになった。県内の市町でも対策計画の策定が進められている。

 このうち、鳥栖市では昨年5月から空き家対策協議会を立ち上げて、年度内に計画をまとめる。倒壊の恐れのある空き家が15戸あることが報告され、今後、具体的にどのような対応を取るのかも協議する予定だ。

 危険な空き家については「倒壊する前に自治体が取り壊した方が良い」との意見がある。対策計画をつくれば国の支援が受けられ、市も費用を負担することで解体することはできる。しかし、経済的な理由で取り壊せない人がいる一方で、お金を持っていても放置する人もいて、行政があまり踏み込みすぎると「行政がやってくれるから放っておけ」という風潮が出かねないとの懸念もある。

 建築基準法では「建物の敷地は道幅が4メートル以上の道路に接していなければならない」とする決まりがある。法施行前に建った家が非常に奥まった場所にあって道に接していない場合は、仮に解体しても家を建て替えることができず、利用価値が低いため土地を売ろうにも買い手がつかないというケースもみられるという。

 住宅だけであればスムーズに売却できるのに、農地がセットになることで困難になることもある。家屋の周りに農地を所有する家は珍しくないが、農地法ではこうした農地付きの住宅を購入できるのは、原則、購入する農地を含めて5000平方メートル以上を耕作する人などに限られ、流動化を制限する要因になっている。こうしたことから、特例として必要な耕作面積を1平方メートル以上に緩和する自治体も出てきている。

 管理責任が所有者にあることは言うまでもない。しかし、鳥栖市が行った所有者アンケートでは相続手続きが済んでいないことや解体費用がネックとなって処分が進まない状況が明らかになり、空き家に仏壇があることを理由に挙げる人もいた。市への寄付や国に土地を引き取ってほしいという要望もある。

 今後は、影響があまりにも大きい危険な空き家に限って行政が乗り出すなど、さまざまなケースを想定した、きめ細かな対策基準が必要だろう。また、解体や活用のための費用を助成するなど、所有者に自主的な改善を促す施策も必要になる。

 困っている所有者が気軽に相談できて総合的で柔軟な支援を受けられるような、利用しやすい制度づくりを急ぎたい。(高井誠)

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