緩やかな景気拡大が続いた昨年の日本経済。良い指標は数多いが、輸出頼みのところが大きく、個人消費の伸びは欠いている。今年は賃上げを実現し、内需主導の成長軌道に乗せたいところ。人手不足から人工知能(AI)を活用するなど、新しい動きが加速しそうだ。

 昨年来、雇用と株式市場は好調で、多くの企業の収益は改善に向かっている。共同通信社の主要企業を対象にしたアンケート調査では、「景気が拡大する」と予想した企業は8割を超えた。理由に、設備投資の回復を挙げた企業が目立った。

 海外事業は当面好調を見込み、外国為替市場の円相場が安定的に推移すれば、過去最高益を更新する企業が相次ぐ公算が大きい。きょうから始まる株式市場の動向もあるが、基調として順風の年になりそうなのは心強い。

 ただ、好景気が続いている実感は乏しい。企業の設備投資はまずまずなのに対し、内需のもう一つの柱である個人消費は低迷している。今の成長は世界経済の拡大を背景とする輸出の好調に支えられた成長で、内需のけん引役は不在のままである。

 鍵を握るのは春闘の賃上げだ。安倍首相は民間企業に3%以上の賃上げを要請した。雇用情勢の改善によって、都市部で見れば条件は整いつつあるかもしれないが、問題は佐賀などの地方だ。

 大企業や親会社だけが首相の要請を達成しても、下請けまで含めての賃上げにならないと消費は十分に増えない。中小零細の多い佐賀県内の企業にも賃上げの努力が望まれる。

 企業経営の大きな課題は、人手不足である。最近の有効求人倍率は1・56倍と約43年ぶり、完全失業率は2・7%と24年ぶりの水準に達している。ただ、人手不足が強まっているのに、賃金は伸び悩んでいる。労働者1人当たりの所定内給与は増えていない。人手が足らなくても、非正規雇用で充足され、賃金アップまで結びついていないとの指摘もある。

 十分な賃上げが実現して個人消費が拡大し、それによる「良い物価上昇」という経済の好循環がつくられれば、デフレ脱却の展望が開けてくる。

 人手不足による倒産もここ数年目立っている。そこで注目されているのがAIや産業用ロボット。AIは少ない人数で効率的に仕事をするための切り札になりえる。

 あらゆるものがインターネットにつながるIoTも含め、最先端技術よる革新が、今年も脚光を浴びるだろう。既に生産性の向上を目指す佐賀の企業にも取り入れる動きが出ている。

 たとえば昨秋、ソフトウエア開発のオプティムが、佐賀大学に最先端技術の研究拠点を開設した。年末には佐賀銀行と提携、AIやIoTを活用し銀行業務の効率化や、利便性向上のシステム開発を進めている。ぜひ地域密着型のビジネスモデルが登場してほしい。

 今年の日本経済は、現在の景気拡大を維持し、その勢いを2019年につないでいくことが欠かせない。もちろん、米国の利上げの動きや北朝鮮情勢など、海外発のリスク要因も少なくない。政府などには、国内景気の腰折れを防ぐ、きめの細かい経済運営を求めたい。(横尾章)

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