昨年7月の九州北部豪雨で杵島郡白石町の有明海沿岸に流れ着き、今年3月に福岡県朝倉市へ返還される松末小学校の門柱=白石町役場

 昨年7月の九州北部豪雨で、佐賀県杵島郡白石町の有明海沿岸に漂着した福岡県朝倉市の松末(ますえ)小学校の門柱が、3月に朝倉市へ返還される。川と海を約70キロ流され、大量の流木に交じって浮いていた門柱は町職員が偶然見つけ、数人がかりで引き上げていた。豪雨災害から5日で半年。朝倉市の関係者は、いまだ災害の爪痕が残る地域にとって「返還は復興の励みになる」と期待している。

 門柱は木製で、長さ約3メートル、根元の直径が約40センチ。2006年の市町村合併以前のもので「杷木町立松末小学校」と刻字されている。海岸で漂着物を調査していた白石町職員が昨年7月11日、浮いているのを見つけて2日がかりで回収した。朝倉市教育委員会には被災地の状況が落ち着き次第、届けると伝えていた。

 2カ月後の9月に白石町を訪れた朝倉市の高良恵一教育部長は、門柱を目の当たりにして、その大きさに驚いたと振り返る。「漂着現場に行くと、海面から堤防までずいぶんと高さがあった。大変だったでしょう」。引き上げた町職員への感謝の言葉が尽きない。

 朝倉市側は、門柱を返還してもらうタイミングとして、松末小の閉校式を提案した。被災前から計画されていた統廃合に伴う式典だ。高良部長は「引き取りに行くのは時間があればできること。でも、今回は単に『もの』を返してもらう以上の意味がある。苦労して引き上げてもらい、『思い』を頂いたと感じている。地域としての感謝を閉校式で表したい」と話す。

 朝倉市東部にある松末地区は壊滅的な被害を受けた。倒壊家屋の撤去も道半ばで、住民の多くが今も仮設住宅や、行政が民間賃貸住宅を借り上げた「みなし仮設住宅」で暮らしている。大量の土砂が流入した松末小も体育館の床板が全て剥がされ、基礎があらわな状態のまま。閉校式に向けて、これからベニヤ板を敷く作業に取りかかる。

 閉校式は3月24日。白石町からは田島健一町長や北村喜久次教育長らが出席を予定している。白石町の海岸には、同じ朝倉市の石詰(いしづめ)公民館の門柱も流れ着いており、併せて返還する。

 白石町教委の吉岡正博課長は「思い出の品が戻ることで、住民の皆さんの元気につながれば」と願う。高良部長は「地域の方も感激し、励みになると思う」と返還を心待ちにしている。

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