2017年を振り返ると、佐賀県民にとっては「国策」に翻ほん弄ろうされた年ではなかったか。

 輸送機オスプレイの佐賀空港配備計画をはじめ、国営諫早湾干拓事業の開門調査問題、九州電力玄海原発の再稼働問題、九州新幹線長崎ルートに導入予定だったフリーゲージトレイン(FGT)の開発遅れなど、佐賀県の将来を左右する巨大事業がずらりと並ぶ。

 特にオスプレイと諫早湾干拓事業をめぐっては、国と地元漁業者との利害が真っ向から対立する構図が続いた。オスプレイは世界各地で事故やトラブルが相次ぎ、事故率も跳ね上がるなど、県民に不安が広がっている。漁業者の懸念も当然だろう。

 しかも、諫早湾干拓事業では、これまで様子見を決め込んでいた国が、開門調査をしない方針へとかじを切った。福岡高裁が開門を命じた確定判決を踏みにじり、新たに就任した農相は現地視察で開門派と会わないなど、強硬な姿勢が目立ち始めた。

 こうした姿勢が県民の目には、地元の声に耳を傾ける真摯さに欠け、「結論ありき」の強引な姿勢に映ったのではないか。

 その不満が、衆院選に向かったという見方もできよう。全国的には自民党が記録的な大勝を収めたにもかかわらず、佐賀選挙区では、自民党候補が1、2区ともに敗れるという異変が起きた。

 有明海をめぐっては、オスプレイ、諫早湾干拓事業の政治的な舞台になっただけでなく、自然災害にも悩まされた。九州北部豪雨で、筑後川を通じて大量のがれきや流木が流れ込んだからだ。

 近年、自然災害は凶暴さを増しているようにも思える。もはや、どこで起きてもおかしくはない。それも、私たちの常識を上回る規模、エリアで起こりうるのだと備えておく必要がある。

 また、玄海原発は再稼働に向けて地元同意を得るなど、ステップを踏んでいるようには見えるが、神戸製鋼の不正検査問題に絡んで、同社製の素材が使われていることが明らかにもなった。

 さらに、広島高裁が伊方原発(愛媛県)の運転を差し止める仮処分も出た。差し止めの理由として阿蘇山の破局的噴火を挙げていたが、阿蘇山までの距離を比べれば、玄海原発も伊方とほぼ同じ130キロ圏にあり、地理的な条件は似通う。

 足踏みが続く九州新幹線長崎ルート計画は、根本から見直さざるをえない状況に陥った。計画の前提とされてきたFGTが、ここにきて白紙に追い込まれたからだ。

 今後はリレー方式やフル規格化など、難しい選択を迫られることになったが、当初から不安視されてきたFGT開発ではあり、新たな財政負担を強いられるのは県民の理解が得られないだろう。

 一方で、明るい話題もあった。多久市出身の画家池田学さんの大規模な展覧会が開かれ、県立美術館の動員記録を大幅に更新する入場者が殺到した。精緻なペン画の世界が県外を含めて幅広く関心を呼び、文化の力を感じさせてくれた。

 来年は「明治維新150年」。明治新政府の中枢で、持ち前の進取の気性を存分に発揮した先人の気概にならい、ふるさと佐賀の発展につなげる1年となるよう願いたい。(古賀史生)

このエントリーをはてなブックマークに追加