高校生の県内就職率向上に向け、打ち合わせをする支援員ら=佐賀市の佐賀商工ビル

 大企業や都市部への「人材流出県」からの脱却に向け、佐賀県内の高校生に地元企業への就職を促す県の取り組みが成果を上げている。2016年度後半から着手し、人材流出の改善が進んできた。県は地元企業と高校の橋渡し役となる支援員の増員を検討し、県内就職の増加に向けて力を入れる。

 毎週月曜に開かれている支援員の定例会。「今の時期は進学を断念して就職に変更する生徒が出てくるので、頭に入れておく必要がある」。支援員の一人が高校側の状況を報告した。今後、順次各校で開く2年生対象の企業紹介会に向け、募集状況なども確認した。

 9人の支援員が両者の橋渡しをする産業人材確保緊急支援事業。16年の9月補正で事業費2416万円を組んでスタートした。県内企業には、不慣れな会社PRや採用スキルなどを支援。高校には、調べた企業の情報を提供したり企業紹介会を実施したりするほか、面接指導も行う。

 16年度は20校を支援し、半年で延べ1千回以上、企業や学校を訪問した。県外就職率は前年度の44・2%から41・0%に減り、改善幅は3・2ポイントと全国で最も高く、実数では少子化の中で76人増えた。本年度も10月末時点の前年同月比で1・1ポイント改善している。

 県は高校卒業後の人材流出が多い背景に、賃金の低さと、県内企業の情報不足を挙げる。担当者は「賃金は企業側の努力による側面が大きい。ただ、情報不足は佐賀がコンパクトな地域だからこそ、施策で支援員の細かい対応が可能」と分析する。

 県商工会連合会は、採用を巡る県内企業の課題について「資格取得や学ぶ場を提供するなど育成に力を入れている企業も多いが、高校まで情報が行き渡らない」と指摘する。県の事業については「アピール不足の企業を掘り起こしてもらえるのはありがたい」と評価する。

 高校側は基本的に、県内外関係なく本人の希望に沿った就職先を探す。ただ、県内希望者は増える傾向にあり、県立高校の進路指導担当者は「支援員からこれまでに情報がなかった県内企業を紹介してもらうことで、進路の選択肢が増える」と歓迎する。

 それでも、県外就職率は全国ワースト5と依然として高い。これまで中小企業の中でも比較的採用の多い会社を支援してきたが、小規模な事業所でもニーズがあるほか、私立高校からも支援の要望があり、県議会でも事業継続を求める声が上がっている。

 県は本年度、意向調査を踏まえて19校を支援している。来年度は事業拡充に向け、支援員を増やす検討をしている。県は「人口減少が進む中で若者の流出を減らすことが、地域産業の担い手を確保する上で重要。この事業で得られた知見や経験を生かし、今後の手だてを検討したい」としている。

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