江戸初期に、日本橋で開業した呉服屋の「越後屋」は、今の三越の前身である。新しい売り方を次々と発案し、大繁盛した◆冬の衣替えの頃、冬物の売り出しと同時に一年中の裁ち余りの生地、つまり裁断屑を袋に入れて1分(2万5千円ほど)で売った。たちまち評判になり、「恵比寿(えびす)袋」と呼ばれて歓迎される。福袋の原型という(新井益太郎著『江戸語に学ぶ』)◆明治44年の1月2日、名古屋の「いとう呉服店」(現在の松坂屋)が50銭で5円分が買える「新春宝箱(福袋)」を発売し、行列ができる人気を博した(『明治・大正家庭史年表』)。その頃から、福袋はお正月の楽しみとして定着していったようだ◆いまや福袋は進化を遂げた。「体験型」もその一つ。高島屋は最年少プロ棋士の藤井聡太四段の師匠、杉本昌隆七段と対局できるものを用意した。佐賀では、人気温泉宿の宿泊券とイルカウオッチング、タイ古式セラピーの利用券などをセットにした福袋を企画した大型店もある◆買い物より体験を重くみる「コト消費」の潮流がここにも。世の中、節約志向だが、なるほど知恵はわくものだ。今も昔も変わらないのは、お客の心をつかむという商売の基本である。ネットでも福袋を買える時代。さて、あなたはお店派? それともネット派? はたまた、買わない派? (章)

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